Mr.PERFECT?

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彼女、いるってわかってたけど
やっぱりそうなんだ。

綺麗な人。
大人な直人さんとお似合いの
しっとりとした雰囲気の落ち着いた女性。

"直人くん"って、呼んでた。
何となく直人さんより歳上なのかな？


直人さんが去ってから
考えることを止めたのに
ぐるぐるとその事が頭を巡り離れない。


見ないようにしたいのに
視界の端で二人を捕らえてしまう。


こんなことくらいで動揺してしまうなんて
本当に自分でも予想外だ。
どうかしてる。

今は一応仕事中で
目の前に後輩だっていると言うのに。



「Aさん」

「……はい」

「暗いなー。勝手に彼氏面したこと、怒ってます？」



にこりと微笑んで、私の気持ちを伺う岩田くん。

それに関しては、今思えばありがたかった。
そのお陰で直人さんには
私の動揺は伝わらなかっただろうから。




「いや、フォローありがと」

「ですよね。良かった」



途端にホッとした顔になる岩田くん。

あれ、この子
意外と悪い子じゃないのかもしれない。



「でもそんなに好きだったんだ、あの人のこと。
何か妬くなー」

「はいはい」

「あ、あしらわれた。……俺、本気なのに」



よくもまぁそんな
つらつらと言葉が出てくるものだわ。

これはおモテになるわ、岩田剛典。



「今からどうします？」

「どうするって、会社戻るでしょ」


デートじゃないんだから。
当たり前にそう返事をした私に、ニヤリと笑いかけた岩田くんは
その場で突然電話をかけだした。



「ちょっと岩田くん、電話なら外で」

「お疲れ様です、岩田です。
商談終わったんで直帰でいいですか？澤木さんも一緒に」



……はぁ？





「課長の許可とりました」
「いや、でも！契約書どうすんのよ。持って帰れないでしょ！」
「この近くの支社に預けてきます。同期いるんで」
「はぁ？」


何でそこまでして直帰？
そう思う私の疑問の答えは
目の前の可愛い後輩がにこにこと答えた。



「今日のやけ酒の相手は俺ですよ」

「え…」

「今市さんじゃなくて、俺が付き合います」




何で、ばれてるんだろう。


今日の私のもやもやした気持ちのまま帰社すれば
私は間違いなく隆二を呼び出していた。

話題のメインは直人さん。


話すことでもやもやを解消して
また明日から何もなかったかのように過ごせる。


そんな算段だったことは
少しも口にしていないはずなのに


この可愛い後輩は
そんなことに鼻が利くのだろうか？



「俺に任せて、Aさん」

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