Mr.PERFECT?

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「お待たせいたしました、どうぞごゆっくり」



岩田くんに連れてこられたカフェ。


頼んだコーヒーを運んできた店員の女の子は
他の客に対してよりもゆっくりとした動作で
名残惜しげに私たちのテーブルを離れた。


うっとりとした眼差し。

それも
私の目の前に座るこの後輩のせいだ。



「どうしました？俺の顔、じっと見て」

「いや、別に…」



まじまじと改めて見ると
確かに整った顔してる。

賢そうで可愛らしいのに男っぽい
魅力的な顔、というのか
さっきの店員といい

この後輩は女性関係で困ったことなどないのだろう。





「ま、全然見てくれていいですよ、俺は。
Aさんなら大歓迎です」



にこっと微笑み
正面から私を見つめてそう言う岩田くん。




…それ、女の子にしたら絶対誤解させるやつだから。






「……小悪魔男子」

「ん？」

「岩田くん、小悪魔男子でしょ」



思わずそんなことを言ってしまった私の表情は
相当しかめ面だっただろう。

少し言葉に嫌みを含んでやった。


きっかけは私だったにせよ
最近私はこの一見可愛らしい子犬ボーイの裏の顔に
からかわれっぱなしだったから。




「そんなつもりないですけど
でもそのお陰でAさんとこういう関係になれたのなら
小悪魔でもいいなー、俺」

「こういう関係って…」

「秘密の関係？
誰も知らないでしょ、ベッドでのAさんがめっちゃ可愛いってこと」

「！！」



当たり前のようにあの夜のことを話題に出してくる岩田くん
本当に何を考えているのかわからない

とりあえず

少なくともあの夜のことを申し訳なく後悔する気持ちは
持つ必要がないことは明確だ。


まさかこんな裏の顔があるなんて。




「詐欺だわ…品行方正な王子様で通ってる岩田くんとは思えない」

「あはは、すみません、夢壊しちゃって。
でもそれ、猫被って演じてるだけで俺じゃないし

……Aさんには何でか、さらけ出せるから
結構嬉しいんですよ、俺」


飄々とそう言った岩田くんの本心はわからないけど
その言葉はあながち嘘ではないように聞こえた。



あの夜のせいで気まずくなる心配は無いけど
それによって知ることになってしまった彼の本性


それを知るたびに私はどうなるのか
検討もつかない

そう思い、カップに口を付けたとき


そのまま私は硬直した。


一度あることは二度ある。



私の視線が捉えたのは
つい先日久しぶりの再会を果たしたあの人と
その恋人の姿だった。

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