Mr.PERFECT?

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「ちょっと、それ俺のタン！」
「早い者勝ちですぅー！」


仕事を定時で終わらせ
網の上の戦場では熾烈な戦いが繰り広げられていた。



隆二と良く行く焼肉店。
大人げなく、肉の奪い合いになるのは恒例行事だ。





「もう一皿頼も。すみません、タン2人前！」





このあとハラミやらカルビやら大量に頼むくせに
とにかく大食いの隆二の注文は豪快だ。


まぁ、こういう気取らないところが気楽ではあるんだけど。




「で、A？内緒話ってなに？」


肉を片手にニヤニヤしながら尋ねてくる隆二。


そうだった。
隆二の真の目的はそれだったわ。


まぁ、別に隠すことじゃないけど。



「実はこないだ会ったの」

「うんうん……あ、タンきたー」

「直人さんと」

「気を付けないとすぐ焼けるんだよねー」

「ちょっと聞いてる？」

「え、あ。ごめん、何て？」

「元カレと会いました」

「へー……あ、タンもういけるよ」

「ありがと」

「……って、元カレ！？」





タンをもぐもぐと頬張る私の目の前に、目を見開いた隆二。





「元カレってあの？」
「そう、直人さん」
「マジで！？」


ようやく肉からこちらへと意識を戻した隆二が
驚いた様子で聞き返す。



「マジです」



丁度先日話題に登ったばかりだし
そりゃまあまぁ驚くわよね。



その隙にタンもう一枚。


てか、何その心配そうな目は。






「え、で、連絡先交換とか」

「しないよ。
……向こう彼女連れだったし」



残念ながら
そんなに世の中うまくできておりません。

私の返事を聞いた隆二は
あからさまにほっとした表情を見せる。



なによ

そんなに心配？



隆二はいつもそうだよね。

頑張れとか応援しつつも
私のことは心配ばかり。

まぁありがたいんですけどね。



「彼女かー。
……A、大丈夫？ショック受けてない？」

「あのね。今さらだから」

「それならいいけど」


どっちにしろ心配かけるわけね。

まぁでも大丈夫。
もう会うこともないだろうし。




「よし！A、カルビ食べな！！」

「…ね、その失恋した友達慰める風の雰囲気つくんのやめて」


そう言いながらも
隆二の肉はありがたくいただいた。





直人さん。

ショックなんかじゃないもん。



この男友達と肉食べて話のネタにするくらいには
吹っ切れてるつもりだから。




だから隆二、

その微妙に心配そうな顔するの、やめてよね。

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