1 ページ1
「Aさん、可愛い。
すごい、可愛い」
年下の男から言われる"可愛い"がこんなにも心地よいなんて知らなかった。
朦朧とした意識の中で
私はそんなことを思い知らされ
でも、それも悪くないなんて思いながら
私は彼の腕の中で眠りについた。
このまま目覚めなければ
幸せだったのに。
目を開けて
視界に入る見慣れぬ天井。
…やってしまった。
しかもよりによって
同じ職場の同僚…かつ、後輩
どう考えても一番気まずい。
───────────
「お前、それはヤバいでしょ」
「本当、ヤバいよね」
そう言って私はため息をついた。
手には半分ほど中身の減ったビールジョッキ。
酔わなきゃ、とてもじゃないけど言えない。
だけど懺悔せずにはいられなかった。
翌日、仕事を定時できりあげ
やらかしてしまったことを打ち明けるのに
私は同期を呼び出した。
こんな話を出来るのは
どんな最低な私でも笑い飛ばしてくれる能天気なこいつしかいない。
現に、私のやらかした報告に
口ではヤバいと言いつつ
面白そうにニヤニヤしている。
「隆二、笑いすぎ」
「いや、さすがAだなぁって。
とうとう年下まで手込めに…」
「ちょっと。私が襲ったみたいな言い方、やめてくれる？」
あながち間違いでは無いのかもしれないけど。
抗議の目で睨む私に隆二はゴメンゴメンと口先だけで謝る。
「で？今日はどうだったの、そのー…何だっけ、い、い、い？」
「岩田？」
「あー、それそれ」
部署が違う隆二でも名前くらいは知っている(忘れてたけど)ほどの有名人。
岩田剛典くん。
仕事が出来て礼儀正しくて
女子社員から評判のルックスで
隆二の部署でも話題の王子様。
でも私は彼に"可愛い後輩"以上の感情など持ち合わせていなかった。
なのに
何故、あんなことに？
「今日は、向こうが出張で会ってない」
「え、良かったじゃん」
「……気まずいのが先延ばしになっただけでしょ」
そう言うと隆二は
"そっか、そうだねー"なんて
またも能天気な返事をくれる。
このゆるさが、何となく今は救われる感じだ。
「A、本当酒癖悪いよね」
…ホントそれ。
部署の飲み会でしこたま飲んで
気付いたらホテルにいて
やってましたなんて
お酒なんて、飲むもんじゃない、マジで。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
6ra6(プロフ) - この、お互いの腹の内を推測しながら進んでいく雰囲気がなんとも言えずもどかしい！NEEさん節炸裂してますね(*≧∀≦*)この感じ、大好きです♪引き続き更新楽しみにしています！ (2018年2月14日 13時) (
レス) id: d8c1da8865 (このIDを非表示/違反報告)
kt03(プロフ) - 直人さんとどうなるのかな？続きが気になります(^^)更新楽しみにしています♪ (2018年1月28日 15時) (レス) id: 4cf55a882c (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - もう皆の気持ちが主人公の方に向いてますね！一体誰とくっつくのか？今から楽しみです(^-^)/ (2017年12月2日 12時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさんおはようございます(^-^)/更新ありがとうございます♪隆二さん切ないですね､やっぱり好きだったんだ！元カレと友達と後輩､一体誰とくっ付けんだろー(気になります) (2017年11月20日 10時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさん更新ありがとうございますm(_ _)m岩ちゃん何処連れてっちゃうんだろう？続きが気になるNEEさーん(^o^)/ (2017年11月14日 0時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NEE
| 作成日時：2017年6月4日 22時
