NEE ROOM【JSB】

片岡直人【年上・元カレ】 ページ5

私は全然乗り気じゃなかったの。

合コンにいい出会いなんてあるはずない。




「ねぇ、お願い！！どうしても一人足りないんだって！！
どうせA、暇でしょ？」



…失礼な。

まぁでも奢りだっていうし
ご飯美味しいお店だって聞いて

そんな理由でやって来た合コン。



正直、全然期待してなかった。

別に彼氏がどうしても欲しいわけじゃないし
それにどうしても比べてしまうから。





数年前、大好きだったあの人と。





私が子供すぎて

遠距離に耐えられなくて泣く私を
"傍にいないのに、幸せには出来ないから"
と言って別れた元彼氏。


あれからいろんな男性と出会ったけれど
何となくそんな気にならなくて、年数だけが過ぎていった。

だけど寂しいなんてことはなくて。

だから今日の合コンだって
ご飯食べたら一次会で帰ろう


そう思ってたのに。








「あ、あの個室だって。
もう男性陣来てるみたいだよ！」



3対3の合コン。


まず始めに部屋へと駆け込んだ友人を歓迎する
男性陣の声。




…あれ？

これって？






「ほら、行くよーA！
止まらないでよー！！今更帰るとか無しだからね」

「え、う、うんわかってる…」



背中を押されて入った個室。


そこには
私の違和感の答えがあった。




「おー、あと二人もいらっしゃーい！」



賑やかに招き入れてくれる一人の男の子の横で
目を見開き驚いた顔は


数年前の私のよく知った顔と変わらない。






…直人さん。






そこにいたのは

数年前に別れた

私の元彼氏だった。






「えっ……」

「ささ！二人とも座って座って！」




何か言いかけた直人さんを遮り
隣の男の子が立ったままの私と友達を座らせる。






(…とりあえず、知らない振り、して！)


微かに首を振り、直人さんに目で訴えると
それに気付いてくれたのか
直人さんは私から視線を外し、隣の男の子に話し出した。


良かった。



だけど

まさかこんなところで会うなんて。













合コンは自己紹介も何とか無事に終えて
雑談へと移行した。


私の斜め向かいに座る直人さん。

皆を楽しませて笑わせて盛り上げて


そんなところは
少しも変わってない。




そう思っても
やっぱり直人さんと話すことは何故だか出来なくて
勿論皆に、直人さんが元カレだと言うことも出来ないまま



私は長い長い時間を過ごしていた。

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