NEE ROOM【JSB】

登坂広臣【同い年・幼馴染】 ページ18

「さっきの男、誰？」


隣の家の幼なじみの彼とは歳も同じで

自分の部屋と彼の部屋がちょうど窓を開けてみればすぐということもあって
暇さえあれば窓を開けて喋ったりする間柄で

今日も窓を叩かれたのは部屋に帰ってすぐのこと。



あぁ、怒ってる。

機嫌が悪いのは
臣の顔を見ればわかる。



「西高の子だよ！
友達の友達で、たまたま道であって」

「西高？…道理でチャラそーだと思った」



…臣にチャラいって言われたら終わりだと思うんだけど。


「てかなに？お前あのレベルの男でいいわけ？
てかお前もあのレベルの女なわけ？」

「はぁ！？何よそれ！！」



よく考えてみれば
確かに臣に恋愛のことも含め全部相談するとは言ったけど

何でここまで怒られて
かつ貶されなきゃいけないわけ？


「臣だってチャラい女子に囲まれてニヤニヤしてたじゃん！」

「は？してねーし！！」

「してたし！！」

「…チッ…ちょっとどけ、A」

「は？」




舌打ちしてどけと言う臣に怯んで
窓から後退ると

そこから臣がこちらへ進入してくる。



「…ちょっと、勝手に入ってこな」
「A」



私の言葉を止めたのは
至近距離で見る臣の顔。

何度見ても
この文句のつけようのない美しい顔には息を飲む。



「お前、あの程度の男とどうにかなるような女じゃねぇだろ？」

「…え？」

「お前の価値が落ちるって言ってんの。
相手選べよ」


…何よ、価値って。



「あのね、私は臣みたいに自信過剰じゃないの。
価値がどうとかよくわかんないから」

「は？馬鹿じゃないの？」



…だから。
何でこんなことで馬鹿扱いされなきゃ



「お前、そこそこ可愛いし、馬鹿じゃねえし
気も使えるし

…いい女じゃん」


「…へ？」



さっきまでの罵倒とはうってかわった
臣の誉め言葉に

私は戸惑いが隠せずに変な声を出してしまう。

そんな私に
臣は顔を近付けたままで、微かに笑う。




「なに、そのまぬけ顔。
その顔はちょっといただけねぇけど」

「まぬけって！
だって臣が変なこと言うから！」

「変なこと？

…俺は、お前にふさわしい男は俺くらいしかいないって言ってんだけど」



「は？」

「変って、Aの顔の方が変だし」




ポカンと口を開けたままの私に
臣は笑って、私の額にキスを落とした。





「お、おお臣、いまっ」

「あの男とはもう会うなよ？」




平然とそんなことを言う臣に
私は硬直したまま

ただ見つめることしか出来なかった。

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