Acacia番外編 ページ13
遡ること数十年。
私の変わらぬ人生に一瞬だけ色を持たせたあの出来事以降
まるで何もなかったかのように
私はもとの生活に戻ってしまっていた。
白いワンピースは私の制服のようなもので
日が落ち、月が夜空へ浮かぶ頃になれば
私はいつものようにあの方のお帰りを待っていた。
そして、今日も。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、剛典さま」
部屋に入る剛典さまを
私は傍に寄り、出迎える。
玄関からここまで一目散にいらっしゃったのだろう。
夜風で少し冷たくなったコートを
剛典さまから受け取りハンガーに架けた。
「今日も疲れたなー」
「お疲れ様です 」
「A、こっち」
ベッドに腰掛けた剛典さまが私をお呼びになる。
慌てて近寄れば
ぐいっと腰を引き寄せられた。
「きゃっ」
バランスを崩し、剛典さまの膝の上に座る形になった私をそのまま
剛典さまはぎゅうっと強く抱きしめる。
「…ん、やっぱり落ち着く。
お前を抱いてると、今日も1日仕事が終わったって実感するよ」
「剛典さま…」
この数年で一気に企業規模を拡大させた剛典さまは、とにかく仕事第一で経営の才能もあって
それは誰もが認める事実だけれど。
こうして安らげる場所を探して
私の傍にいらっしゃる剛典さまは
"社長"の剛典さまとはまた違う顔なのだろう。
そして
「A」
優しいキスと共に始まる夜の恒例。
また剛典さまは違う顔を私だけに見せてくださる。
「愛してるよ、A」
注がれる愛の言葉は鎖となって
私を繋ぎ止める。
あの出来事から剛典さまは
私に注ぐ愛情を隠しはしない。
溢れんばかりの愛と
それから少しのスパイスとしての恥辱。
全ては剛典さまの私への独占欲。
そして私もそれを受け入れる。
それが私の仕事であり
そして、生きる喜びであると
私は、信じているから。
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1980no(プロフ) - 隆二さんがペットなんて……溺愛しちゃいそう( *´艸`)♪ (2018年3月3日 13時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさん♪こんばんは(^-^)/Twitterでお知らせ見て読みに来ました!臣さん甘〜い( *´艸)こんな素敵な彼氏と年越し出来るなんて…羨ましいです♪今年もあと僅かになりましたが来年もNEEさんにとって素敵な年になります様に(*-ω人)よいお年を♪ (2017年12月31日 22時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - あと少しで今年も終わります!我が家も冬にはこたつなんですよ 臣くんなら一緒に暖まりたいなあ〜 (^^) NEEさん、一年お疲れさまでした!まだまだ来年もファンでいさせて下さい!よいお年を! (2017年12月31日 22時) (レス) id: 9c7c428eca (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - これは落ちちゃいますね……沼のようにどっぷりと_| ̄|○ (2017年12月2日 12時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - 直人のBDに更新。。(*´ー`*人*´ー`*)♪ありがとうございます!! (2017年8月30日 17時) (レス) id: 83b994670a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NEE | 作成日時:2017年4月9日 22時