今市隆二【年下・再会】 ページ2
ドン、と背中に壁を感じたときにはもう遅かった。
目の前には見たこともないような、隆二の真剣な顔。
「ちょっと、どうしたの」
「どうしたのじゃないよね。何してたの、あいつと」
見られてたんだ、元カレと会って、そしてキスされたところ。
怒ってるんだ、隆二。
私が散々元カレに泣かされていたのを知っていたから。
そして寄りを戻せばまた、浮気性の元カレに泣かされることも目に見えているから。
だけど、わかっててもまだ心のどこかで彼を愛しているのだから
バカだってわかってるけど仕方がないじゃない。
「あんなに泣いて、ひどいこともいっぱいされて、もう会わないって言ってたじゃん」
「そうだけど…」
「姉ちゃんはいつもそうだよね。そういうとこ緩いっていうか」
「隆二、緩いってどういう」
言葉は続かなかった。
上唇に感じる髭のチクリとした刺激。
私の言葉は、隆二のキスで封じられていた。
「ん!??」
抵抗する私の手は、簡単に隆二の手に掴まれ、そして動けなくなる。
その力に驚くとともに、今まで弟だと思っていた隆二が"男"なのだと思い知らされ、思わずドキリとする。
「りゅ…」
「やめときなよ、あんなやつ」
「っ…」
「あいつより俺のほうが姉ちゃんのこと幸せにできる」
「は?隆二、何言って…あんたは私の弟みたいなもんでしょっ」
いつものように、そうたしなめるけれど
隆二はいつものような屈託のない笑顔を見せてくれることはない。
睨むような厳しい視線に、まるで隆二が別人になってしまったようで
思わずたじろいだ。
「じゃあ俺、弟やめる」
「え?」
「姉ちゃんがそれを望むならって、俺は今までそうしてきたけど、もうしないから」
外れない、視線。
蛇に睨まれた蛙のように、私は動けず、声も出ない。
「好きだよ、弟としてじゃなくて、男として」
「りゅう、じ…」
「姉ちゃんじゃなくて、俺の女になってよ…A」
まるで私の動きを止める魔法のように、隆二の言葉が私の自由を奪う。
バカじゃないの、とか、姉ちゃんをからかうんじゃない、とか
そう言ってこの場を躱さなければいけないのに
隆二に見つめられて私は動けない。
そうしてまた
近づく、唇。
「っ…だめ!!」
渾身の力で、隆二を突き飛ばした。
情けなくも私はそこから逃げ出すしかなかった。
どうかしてる。
今日の隆二も
それから、ドキドキしている私自身も。
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1980no(プロフ) - 隆二さんがペットなんて……溺愛しちゃいそう( *´艸`)♪ (2018年3月3日 13時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - NEEさん♪こんばんは(^-^)/Twitterでお知らせ見て読みに来ました!臣さん甘〜い( *´艸)こんな素敵な彼氏と年越し出来るなんて…羨ましいです♪今年もあと僅かになりましたが来年もNEEさんにとって素敵な年になります様に(*-ω人)よいお年を♪ (2017年12月31日 22時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - あと少しで今年も終わります!我が家も冬にはこたつなんですよ 臣くんなら一緒に暖まりたいなあ〜 (^^) NEEさん、一年お疲れさまでした!まだまだ来年もファンでいさせて下さい!よいお年を! (2017年12月31日 22時) (レス) id: 9c7c428eca (このIDを非表示/違反報告)
1980no(プロフ) - これは落ちちゃいますね……沼のようにどっぷりと_| ̄|○ (2017年12月2日 12時) (レス) id: fb6f76b200 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - 直人のBDに更新。。(*´ー`*人*´ー`*)♪ありがとうございます!! (2017年8月30日 17時) (レス) id: 83b994670a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NEE | 作成日時:2017年4月9日 22時