124―今市 ページ26
「……出ない」
呟いた俺に
バーテンは反応し驚いた顔を見せた。
いつものように訪れたbar。
先日、臣から告げられた気持ちに
俺は少なからず動揺をしていた。
初めから臣が彼女を気に入っていたことは
知っていた。
だけど臣が本気になるとは思わなかった。
麻倉、A。
偶然出会ったホテル。
商談での再会。
知れば知るほど興味深い
彼女の素顔。
暇潰しやきまぐれだったはずなのが
いつの間にか俺の心を浸食していって
変化をもたらしていく。
こんなにもひとりの女性に執着するなんて。
留守番電話サービスに切り替わってしまった発信画面を切りながら
初めて、ままならない感覚に
戸惑いすら感じる。
「…電話、あのコか？」
バーテンの重低音の問いに
俺は僅かにはにかんで返す。
「ん。さけられてんのかなー、俺」
これで二回目。
こんなことは初めてだ。
確かに
彼女が嘉山常務との関係性を終わらせているのなら
もう俺に従う必要などないのだけれど。
でも
あの夜確かに
心が触れた、そう思ったのに。
「珍しい図だな。
隆二が女に振り回されてるなんて」
「本当っすよね。…俺も本気になるつもりなかったのに」
親友の臣を応援しようと思う反面
もっと彼女を知りたいと思う気持ちがある。
その気持ちは
他のもので代替できると思ったのに。
「男は狩猟民族だからな。
逃げられて、手に入らないかもと思うほど、欲しくなる」
バーテンがそう言って差し出したグラスを受け取り
口をつける。
俺、欲しいのかな、彼女のこと。
「そういえば、スケジュールは決まったのか？」
「はい、まぁ…ある程度は」
切り替わった話に俺が曖昧な返事をすると
バーテンが、おいおい、と笑う。
「どうした？歯切れ悪いな」
「…そんなことないっすよ？」
計画は順調。
このままいけば俺の中では
恙無く事が運ぶはずだった。
だけど
そのとき頭に浮かぶのは
今まで思いもしなかった彼女の姿で。
駄目だと思えばより欲しくなる。
無理だと思えば手にいれようと躍起になる。
多分俺は本当の意味で
あなたを
"俺のモノ"にしたいんだ。
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えりんぎ - 直人さんがすてきすぎました… (2017年4月8日 18時) (
レス) id: 834d4529af (このIDを非表示/違反報告)
ゆーりん(プロフ) - はじめまして！二日間でここまで読破しました！どうしても直人さんが良いなって心の中でウズウズ。。。楽しみにして、4を読ませて頂きます！！ (2017年2月9日 11時) (レス) id: 623fea7ce6 (このIDを非表示/違反報告)
love(プロフ) - 真相も気になりますが、やっぱり...隆二さんと結ばれてほしいです（ ; ; ） 続き楽しみにしています！ (2017年2月5日 15時) (レス) id: e0f37f36d6 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 直人さんがいいなぁ、、なんて思っちゃってます（笑）直人さんの安心感が半端ない！！！！作者さんも更新頑張ってください！ (2017年2月5日 11時) (レス) id: effbf41489 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ぎゃああああトサカ登坂とさかぁ（ ｉ _ ｉ ）隆二ほんとに頑張って、、、(( (2017年2月4日 22時) (レス) id: fc11a717f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2016年11月22日 23時
