Eternal LOVE

10―登坂 ページ10

ここの部署に来たのは半年前。



地方から本社の営業部へと異動が出て
案内された席で
隣にいたひと。



あー、これが噂の、麻倉A。




ふたつ上に仕事命の美人がいるって噂は聞いたことあるけど
初めて見た。

確かに綺麗だけどとっつきにくそう。





「登坂です、よろしくお願いします」

「よろしく」

「えーとAさん？」




とりあえず綺麗な女の人とはお近づきに♡

ほとんど本能のままにそう名前で呼ぶと

ものすごく眉間に皺を寄せて一瞥したあと
デスクのパソコンに視線を戻して彼女は言った。





「"麻倉"」





あ、怒られた？

馴れ馴れしく名前で呼ぶなって？


さすが、そう簡単にはいかないか。






「失礼しました…じゃあ、先輩で」

「…は？なんで？」

「特別感欲しいなーって。
"麻倉さん"じゃ他の人と同じなんで」

「…意味わかんない」




その時は冷たくあしらわれたけど
"先輩"って呼んでも返事してくれるあたり
一応容認してもらってるらしい。





こんな感じで最初っから手強かったけど
そのあともそれは変わらず




「先輩、今日飯行きません？」

「…行かない」


「先輩、土曜日デート」

「しないから」




全然つれねぇ。





そんなあるとき

先輩の担当客先でトラブルがあって
でも先輩は別の顧客対応に追われてるってときに

たまたま時間が空いてた俺が代わりに対応したことがある。



トラブルっていっても大したことなくて
難なく対応を終えた俺のところに
別の顧客対応を終えた先輩が血相を変えて走ってきて


「大丈夫、うまく対処しときました」


そう言った俺に



彼女は






「登坂！ありがとう！！」




そう言って初めて
笑顔を見せてくれたんだ。







うわ、やべぇ。


ギャップ？



普段ツンツンしてるくせに
すげぇ可愛いじゃん、この人。



それから俺は作戦を変えることにする。




仕事好きな彼女を落とすには
仕事面で攻める。



そうして少しずつではあるけど
信頼を勝ち得た俺に対する彼女の態度は軟化していって

これからだってときに。







『臣ーおつかれー』

「おー、隆二。今日Aさん行ったって？」

『うん、ありがとね』

「おう。…美人だっただろ」


『んー美人だしきつそうだけど…
…意外と可愛い一面もあるよね』


「え？」

『何か、からかいたくなる感じ？』





は？…ナニソレ。

隆二、誰かと間違えてねぇ？

今日一日で
お前、先輩の何を知ったんだよ！？

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