Eternal LOVE

46 ページ46

何で、ここに？


そう訝しげな私に
直人さんはいつもの優しい目を細めて困ったように笑った。



「そりゃ、あんな電話聞いたら心配するでしょ」








確かに。





タイミング良くか悪くか
かかってきた電話へ出たのが嘉山で
それもあの応答なら、この状況はある程度予想はつくだろうけれど。



でも。




それにしても、電話を切ってから
来るのが早すぎない？








「…お出かけ中でした？」

「何で？」

「だって、早かったから」








直人さんの家は知らないけど
近所って訳じゃないだろうし。


まるですぐ近くにいたみたいな
そんなタイミングでのご登場。




「んー、ちょっとね、DVDでも借りようかなって」

「こんな夜遅くにですか？」

「うん、まぁ」

「でも、明日も仕事なのに」






解せない気持ちが言葉になれば
直人さんは、はぁーっと深くため息をついた。





「…そんなに言わせたい？」




直人さんが優しく、だけど真剣な眼差しを向けるから
思わず私の心臓はドキリと跳ねる。



何となく、心の隅で感じてた。

だけど、自惚れだとすぐに自分を戒める。



まさか直人さんが
いくら仮彼氏だからといって…



その私の予測の正誤は
すぐに直人さんの口から聞かされた。






「Aが心配で、待ってたに決まってんだろ？」










直人さんと別れて
取引先━今市のところへ行った私。


夜遅くに向かう私を
直人さんは心配してくれていた。



だけど

まさか迎えにまで来てくれるなんて。





「何回か送ったことあるし、Aんちは知ってたし。
あ、でも別にわざわざ待ってないから！！
DVDのついでに通りがかって
ちょっと待っただけだから！！」





勘違いするなよっ！


そう茶化して言う直人さんだけど


多分、わざわざ(・・・・)待っててくれたんだ。



昔から直人さんは面倒見が良くて、後輩思いで
優しい先輩だったから。




「まぁでもちょうどよかったよ。…大丈夫？
変なことされてない？」


「大丈夫ですけど…

そんな男前なことされたら、惚れますよ？」







ドキドキする心を誤魔化すように

敢えてそんな風に冗談めいて言えば。






「それならそれで」






あ、ヤバい。


直人さんの目がまた真剣味を帯びて
私はそれに捕らわれる。







「いいよ、本気で惚れてみる？」









あぁ、マズイ。


流されてしまいそう。





この眼差しは

今の私には、心地よすぎる。

47→←45

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す