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連れてこられたVIPルーム。


薄暗い部屋はソファーとテーブルと
それから小さなバーカウンターがあって

妖艶な雰囲気にドキドキする。


カウンターの上で
氷と酒をグラスへ入れた今市は

その二つをテーブルに置くと
ソファーに腰掛けた。





「隣どうぞ?」



L字型に置かれたソファー。
私は隣には行かず
今市がいない方のソファーへと座る。



「警戒してる?」

「別に」

「それならいいけど。
大丈夫、突然襲ったりなんかしないから」


今更。
今市とは寝たんだし(覚えてないけど)
襲われたからって傷付く私じゃないけど


何となく
動揺を悟られたくはない。




「下だと、何か絡まれそうだったしね」


絡まれそう、と言ったのは
あのカウンターの女のことだろう。


「ずいぶんおモテになるみたいね」

「声は良くかけられるかな」


はいはい、否定はしないわけね。




「面倒なだけだけど…今日は悪くなかったかな」

「結構美人だったものね」



言いながら、私はもやっとしたものを
心に残す。



「まだ女のコいるかも。…戻ってもいいけど?」



あぁ、言い方感じ悪かったかも。


そんな私に今市はにっこり笑い
そして私の方に身体を向けた。


「それ」

「え?」


「まさか妬いてくれるとは思わなかったから」





妬いてなんかない。
その言葉は
伸ばされた今市の手が私の手に触れたことで
外に発せられることはなく飲み込まれた。


どうしたの?私

触れた手から熱を帯びて
心臓がドキドキいってるのがわかる。


こんなこと
大したことじゃないのに。




「聞きたいことあったんだ。
…嘉山さんと、今朝もめてたよね」


そう今市から言われて
思い出す朝のこと。

まさか見られていたとは思わなかった。



「彼はまだ別れたくないみたい」

「だろうね」

「でももう二度と会うつもりないから」

「うん、そっか、それじゃ」






L字型のソファーの角を挟んで座る今市の
私の手を握るのが少し強くなり

私が彼を見上げれば



今市の口から出た言葉に
私はまた今日何度目かの思考停止をする。






「ナオトさんって、何者?」


「…へ?」


「特別なカンケイ?」





そうか。


もし今私が直人さんが彼氏だと言えば

今市とのこのよく分からない関係も終わるのかも。



だけど



「…大学からの、先輩」

「そうなんだ」




言いたくない。



そう思ってしまった私は

今市の甘い視線にやられて
多分、どうかしてしまっているんだ。

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NEE(プロフ) - みほこさん» ありがとうございます!ビューネくんもそろそろ終わるはずなので!パート2ともどもお楽しみくださいませ(*^^*) (2016年9月8日 23時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - MYさん» ありがとうございます!大人な直人さんに切なくなりつつきゅんしちゃってください(*^^*) (2016年9月8日 23時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - サクラさん» ありがとうございますー!隆二メインですが直人さんにもきゅんきゅんしていただけて嬉しいです(*^^*)やはり直人さんは大人キャラが似合いますー! (2016年9月8日 23時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
みほこ(プロフ) - いつも楽しませていただいてます♪ビューネくんも大好きです♪つづき楽しみにお待ちしていますm(__)m (2016年9月7日 22時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
MY(プロフ) - 直人さん泣きそうかっこいいです (2016年9月7日 19時) (レス) id: ed4e215e6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2016年7月31日 20時

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