検索窓
今日:4 hit、昨日:42 hit、合計:2,657,060 hit

39 ページ39

辿り着けば
私を呼んだはずの男は
見知らぬ女と一緒にいた。




別に彼氏じゃないし


その女は誰よと怒る権利は私にはなくて


もし怒るとしたら
人を呼びつけておいてなんなの?とか

そんな程度のことくらいのはずで。



だけど
なぜ私は今市が女を連れているのを見て

微かに傷ついているのだろう?





見せつけるために呼んだの?

それとも私がくる前にいい女を見つけちゃった?




どちらにせよ
私にはとても体裁の悪い話で

怒るべきだと思いつつ
私は心外ながら、その場でフリーズしてしまった。




「待ってた、Aさん」


嘘ばっかり。


「…あの人、ほっといていいわけ?」





あ、なんか私
拗ねたみたいな言い方になってる?



何となく気まずくてあちらを見れば
カウンターに残された女は
ひきつった顔でこちらを見ている。


と、そのとき。




強く長く感じる視線。

今市を見れば
穴が空きそうなほどにじっと私を見ていた。





「ちょ、な、なに?」

「…妬いた?今」




ニコッと笑い
そんなことを言う今市に

反論しようにも
何故か傷ついた自分の心に気付いていた私は
何も言えず


「な、ないから!」


視線を外し
そう言うのが精一杯で



でも予想外にも今市の反応は嬉しそうで。







「…Aさん、めっちゃ可愛い」





「は?」





「めっちゃ抱きしめたい、今」




バーのど真ん中でただでさえ目立つのに
そんなことお断り。

それこそ誰に見られるかわからない


そう冷静に諭したくも

そっと触れられた手を
振り払うことすら私は出来ない。





"可愛い"

"抱きしめたい"




嘉山に幾度となく言われてきた月並みな言葉なのに

何故?



今市の言葉のひとつひとつは
そういった"恋愛事"から遠ざかっていた私の心を
少しずつ、乱していく。




「部屋変えよっか。VIP空いてます?」

「空いてるよ」



長身のバーテンに聞けば
空いているらしい恐らく"VIPルーム"



カウンター席の女性の視線を受けながら
私は従順にも今市に連れられ
店内にある螺旋階段を上がっていく。






"次はいい恋愛を"




そう直人さんに言われたばかりなのに


今市との関係は
恋愛には決して結び付きはしないと思っているのに







冷静に考えられるそれとは反して

私の本能の部分が

入れてはいけないスイッチをいれようとして



私は愚かにも


今日はその理性に

目をつぶることにした。

40→←38―今市



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1274 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3313人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

NEE(プロフ) - みほこさん» ありがとうございます!ビューネくんもそろそろ終わるはずなので!パート2ともどもお楽しみくださいませ(*^^*) (2016年9月8日 23時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - MYさん» ありがとうございます!大人な直人さんに切なくなりつつきゅんしちゃってください(*^^*) (2016年9月8日 23時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - サクラさん» ありがとうございますー!隆二メインですが直人さんにもきゅんきゅんしていただけて嬉しいです(*^^*)やはり直人さんは大人キャラが似合いますー! (2016年9月8日 23時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
みほこ(プロフ) - いつも楽しませていただいてます♪ビューネくんも大好きです♪つづき楽しみにお待ちしていますm(__)m (2016年9月7日 22時) (レス) id: 6b3f9fe695 (このIDを非表示/違反報告)
MY(プロフ) - 直人さん泣きそうかっこいいです (2016年9月7日 19時) (レス) id: ed4e215e6e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:NEE | 作成日時:2016年7月31日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。