44―ELLY ページ44
「へぇ、何の制裁もしなかったんだ」
珍しくガンちゃんに飲みに誘われた俺は
彼の傘下にあるホテルのショットバーに来ていた。
話題はやっぱり
あの子のこと。
そして新しく雇った男のこと。
こんな話をするのは更に珍しいことで
いつも判断を迷わないガンちゃんが
何だか自信なさげで驚きだ。
「オミのことは、いつでも解雇できる。
だけど、Aの心は…」
弱気な発言だな。
初めてなんだろう。
欲しいものが手からすり抜けていく感覚が。
何かを失うかもしれない恐怖が。
いっそ正式な恋人にしてしまえば？
そう言いたいのが本音だけど
そうはいかない立場だってことは重々承知しているから
軽々しく口には出来ない。
あの子はきっと
ガンちゃんが解雇しないかぎりは傍にいるだろう。
ずっとずっと傍にいて
例え日陰の存在でも
離れたりはしないだろうけど
でも心までは繋ぎ止めておくことはできない
それに気付いて苦悩しているんだね。
「本当、手のかかるペットだよね。
ご飯もおもちゃも愛情も全部与えているのに
どうして首輪を外そうとするのかな」
自嘲するように言ったガンちゃんは
視線を下に向けショットグラスを煽った。
本当、珍しい。
いつどこで命を狙われるかわからないから
ボディーガード無しでこんなムチャな飲み方をすることはないのに。
今日はプライベートだからとお付きも連れず
こうしてさっきからショットグラスを次々空けて。
「ガンちゃん、大丈夫？」
「何が？別に普通だけど」
ほら、そうやって強がって
素直に甘えたりしないから
その想いのひとつでも
彼女に伝えてあげたらいいのに
多分、伝え方もわからないんだろうね。
「…帰るわ」
「送ろうか」
「いい。…呼んである」
そりゃそうか。
さすが、酔っていても
そういうところは冷静なんだ。
「もう少し素直に伝えてもいいんじゃない？」
俺の言葉に
ガンちゃんは何も言わなかったけど
何かを考え込んでいるようだった。
「ありがとう、ELLY」
ガンちゃんは、そう力なく笑って
店を出た。
冷静で自信家なガンちゃんの
いつもの様子とは違っていた。
まるで自分の感情をもて余しているみたいに。
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たかあや(プロフ) - 絶賛全部読み返し中です！同じ名前の曲が出ることに一人で興奮してます(笑)素敵な時間をありがとうございます！ (2018年2月6日 7時) (
レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
okgs(プロフ) - とても切ない物語でドキドキしながら読ませてもらってます！すごく胸が締め付けられる思いになりました。その人の気持ちがわかりやすくかいてあり、その気持ちにたって読めるのでいいなと思います。更新楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください！応援してます！ (2016年7月31日 3時) (レス) id: 6715d7612f (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらってます！更新楽しみにしています、頑張って下さい！ (2016年6月30日 22時) (レス) id: 42cb9d35cf (このIDを非表示/違反報告)
*今市/登坂LOVE♪♪*(プロフ) - NEEさん» ハイローのツアーも行くんですか？？いいですね！羨ましいです！！ちなみにJKですか？ (2016年6月26日 21時) (レス) id: 92c067e04f (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 3jsb-Yua∞kj8さん» ありがとうございます(*^^*)全部読んでいただいてるなんて嬉しいです！今回はきゅんきゅんよりも切なめですが、楽しんでもらえるようがんばります！ (2016年6月26日 21時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2016年6月3日 0時
