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「オミ…駄目……」





私の訴えなど無視して
オミは私の身体を抱き締める手を緩めない。



見つかったら罰を受ける。

だけど


この腕の温かさから
離れたくない自分もいる。




何を考えているの?オミ


私が想うのと同じ気持ちを
あなたも持ってくれていると思ってもいいの…?



恐る恐る彼の背中に手を回せば
広く温かい背中にまた、私の心臓はドキドキする。




ふと、私の首筋を触れる指先。

なぞる指に息を飲むと同時に思い出したのは
今朝、剛典さまが大量に私に付けた紅い痕。




「やっ……」




右手で首を覆うけど、もう遅い。

多分、見られた。




涙目になる私を抱き締めたまま
オミはそっと私の右手を外すと

ゆっくりと私の頭を何度も撫でた。


"大丈夫"


そう言っているみたいに。








ぶっきらぼうで

冷たいくせに



そんなに優しくするなんてずるい。





やめなきゃ
忘れなきゃ

そう誓う心がどんどん折れていく。





と、そのとき




















「何してるのかなー、お二人さん」














サーッと


血の気が引く音がした気がした。









足音に気付かなかった。








いつのまにかお部屋にいらっしゃっていた


剛典さま。









「紗都子がどうしても心配だからって言うから
代わりに少し様子を見に来たんだけど…」





剛典さまの声は穏やかで

恐ろしさを余計に増幅させる。


小刻みに震える私の身体を
オミは抱き締める腕を緩めはしなかった。





「送ってとは言ったけど、それ以上は命じた覚えはないんだけど」




あぁ、私のせいだ。

私がすぐに部屋に入っていれば…





「こいつ、本当に体調悪いみたいで
ふらついたところを抱き止めただけですよ?」




怯える私を余所に
オミは平然と剛典さまに言ってのけた。





そんな嘘が通用する方ではないのに。







「へぇ、そんなにタイミングよく?
俺はラブシーンの邪魔をしたかもなんて、ちょっと心配したんだけど」





「まさか。
主人のモノに手を出すほど馬鹿じゃねぇよ」









吐き捨てるようにオミが言った言葉に
私が少しも傷付くことがなかったのは


彼が微かに
私を抱き締める手に力を込めたから。





オミはそのあと私をベッドに運び
そして座らせてくれた。







「じゃあ、俺はこれで」



部屋を出るオミを
剛典さまは意外にも引き止められなかった。




この嘘に

気付いておられないはずはないのに。

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 岩田剛典 , 登坂広臣   
作品ジャンル:恋愛
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たかあや(プロフ) - 絶賛全部読み返し中です!同じ名前の曲が出ることに一人で興奮してます(笑)素敵な時間をありがとうございます! (2018年2月6日 7時) (レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
okgs(プロフ) - とても切ない物語でドキドキしながら読ませてもらってます!すごく胸が締め付けられる思いになりました。その人の気持ちがわかりやすくかいてあり、その気持ちにたって読めるのでいいなと思います。更新楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください!応援してます! (2016年7月31日 3時) (レス) id: 6715d7612f (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらってます!更新楽しみにしています、頑張って下さい! (2016年6月30日 22時) (レス) id: 42cb9d35cf (このIDを非表示/違反報告)
*今市/登坂LOVE♪♪*(プロフ) - NEEさん» ハイローのツアーも行くんですか??いいですね!羨ましいです!!ちなみにJKですか? (2016年6月26日 21時) (レス) id: 92c067e04f (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 3jsb-Yua∞kj8さん» ありがとうございます(*^^*)全部読んでいただいてるなんて嬉しいです!今回はきゅんきゅんよりも切なめですが、楽しんでもらえるようがんばります! (2016年6月26日 21時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2016年6月3日 0時

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