Acaciaー秘密の恋ー

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「A」

「はい…剛典、さまっ…」



オミを部屋から出した剛典さまは
いつもどおりこの部屋の大きなベッドに私を押し倒しキスをした。


そこから始まるのは
緩急をつけた焦らすような手技。


剛典さまはその美しい手で私を弄び
その様子を観察するのがお好き。



今日もベッドに横たえた私の身体をまずは
手と視線で、愛してくださる。
　



「どう思う？オミ」

　

どう、とは。

何をもって返答したらよいのか。

さっき初めて会ったばかりのあのボディーガードを
どう、お答えするのが正解なの？




「ほら、ちゃんとお返事して」

「はっ…ぁぁっ…はぃっ…」




考え込む私を剛典さまは許してくれはしない。

切なくなるほどの手の動きで私を刺激して
私は返事どころか、漏れそうになる声を抑えるのでやっとなのに。



「いい男だよね、オミ。
ね、そう思うでしょ」


　
確かにいい男だった。
思わず見とれるほどの。


剛典さまはそんな私にも気づいていたのかも

それならば返答は慎重にしないといけない。




「は、はい……っ確かに、美しい方でしたけど」


ニコニコとして私を見下ろす剛典さま。
私は剛典さまの目を見て、必死で答えた。



「私には、剛典さま以外の男は皆、同じでございますっ」


「…へぇ」


「で、ですから、どうと仰られても、どうも思いません…っ！だからあの、すぐに返事出来なくてっ」



しどろもどろ。

だけど必死だった。


そんな私を初め、すまして見下ろしていただけの剛典さまは
突然ご機嫌に表情をゆるめられた。




「あはははっ！！
あーー、…本当に可愛いねお前は」



豪快にお笑いになった剛典さまは
満足そうに私を見ると額にキスをくださった。



「合格だよ。
ごめんね、意地悪して。
Aが俺を裏切るわけないのに」




別人のように優しく
剛典さまは私を愛し始めた。


十分に慣らされた私の身体に
剛典さまが入ってくる。






「オミは俺の陰で色々働いてもらう。
Aも、同じく俺に仕える者として仲良くして？
だけど」




私の中で動いていた剛典さまが突然動きを止められた。


そして私の耳元でこう、おっしゃった。





「スキになっちゃだめだよ？…彼のこと」


　
「…は、いっ…っ」






ぞくりと背筋を寒いものが走る。


　
もしかしたらバレていたのかも。


オミが出ていくまでの間
私が彼から何故か目を離せなかったこと。



彼が気になるなんてこと

剛典さまには知られてはいけないの。

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