Acaciaー秘密の恋ー

38 ページ38

イケナイ。




そう思っていても

剛典さまから与えられるキスを拒むことなどできやしない。


後ろめたさは少しはあれども
さっきまでの悲しさが打ち消されていくような
激しいキスに


私の心は、熱く、嬉しくなる。





「何、興奮してんの？
こんなトコロでこんな風にされて
そういうのが好きだったとは知らなかったな」


「やっ…ちがっ……それはっ…」


「あぁ、そんな風に声を出したら聞こえるよ？」




わざと

剛典さまはその美しいお手を私のももに這わせ
焦らすように撫で上げ



立ったまま、本棚に身体を預けた私の身体を
たまらなくなるくらいに

際どい刺激を与える。



それに上がりそうになる声を視線で牽制して
思わず涙目になる私の姿を

いとおしそうに見つめる剛典さま。




酷いことをされても
私はこの剛典さまの私だけに注がれる視線に喜びを感じ

そして、嬉しいと、感じてしまう。






「ほら、手だけで満足できる？」


「剛典さま、もぅ…っ」


「無理だよね？でもダメだよ？
ほら、そろそろ来るだろうから」





来る…？





その言葉とともに

ガチャリと剛典さまの部屋の扉が開く音がする。





「…そこから報告して」


少し覗き込めば見えてしまうような
隣の部屋の書斎から

この部屋に入ってきたであろう人物に声をかける剛典さま。




声を聞く前に、わかってしまった。






「任務完了しました」





……オミだ。





すぐ近くに彼がいる。


だけど


私は本棚に押し付けられたまま、動けない。





「お疲れ様」




剛典さまがまた私の身体をまさぐり
敏感な部分を刺激する。


私は出そうになる声を必死で抑えながら
隣にオミがいるというこの状況に
何故か高ぶりが収まらない。




「そのまま待ってて、オミ」


剛典さまは彼を壁一枚向こうのその場所に控えさせたまま
さらに私の際どいトコロを刺激する。




もう、無理だ…



そのとき




「剛典さん、まだお仕事は……あら、お客様？」




痺れを切らした紗都子さまが
部屋へと戻ってくる。


どう考えてもまずい、のに


剛典さまはニヤリと笑ったまま
私への刺激を止めてはくれない。




「剛典さま、書斎にいらっしゃるの？」



コツコツと靴音が
こちらへと向かう音がする。




近付いてくる紗都子さまと
すぐ近くに控えているオミ。



なのに剛典さまは
私を許してはくださらない。

39ー剛典→←37

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す