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ざあっと風が吹いて
アカシアの木を揺らす。
黄色い可愛らしい花が
私の頭を撫でるように掠めた。
「…じっとして」
オミが手を伸ばし
私の髪に触れる。
その指先には、アカシアの花。
「ん、取れた」
たったそれだけのことなのに
私の心臓はさっきからドクドクとうるさい。
「その花…」
ぼそりと呟いた私を
彼はうかがうように見つめる。
「アカシアって、言うんだって」
「…へぇ」
彼が、その手にある黄色い花を見つめる。
なんて絵になるんだろう。
「花言葉は…」
ドキドキして
私の言葉を待つ彼を見られない。
「……秘密」
「秘密かよ」
ククッと笑う彼に
そのあとに続く言葉を言えずに飲み込む。
これは "秘密の恋"
そう
誰にも言えないの。
剛典さまにも
目の前のあなたにも。
「…戻らなきゃ」
「次も」
部屋へ戻ろうとする私に
オミが声をかける。
「…次も、アカシアの木の下で」
オミの言葉に返答はせず
私は逃げるように部屋へと駆け込んだ。
わざと大袈裟にベッドに飛び込むと
顔をシーツに沈めて
私は声にならない声をあげる。
どうして
そんな風に微笑ったりするの？
初めて会ったあの時と違う顔を
見せたりするのはどうして？
心の動揺を彼のせいにして
私はドクドクと弾む胸をぎゅうと押さえた。
こんな気持ちは初めて。
剛典さまを愛し焦がれるのとはまた違う
顔を思い出せば
胸の奥がｷｭｳとなるような感覚。
そっと、自分の頭に触れてみる。
思い出すのは
彼が触れた感触。
"スキになっちゃ、だめだよ？"
剛典さまの言葉を思い出し
私は必死で頭からオミの存在を排除しようとする。
…だけど。
"A"
"次も、アカシアの木の下で"
オミの私を呼ぶ声に
本気かもわからないような次の約束に
思い出せば私の頭は浸食されてしまっていて。
早く忘れなきゃ。
このことは夢だと思わなきゃ。
明日からまた剛典さまに仕える日々に
疑問や
切なさを抱くことのないように
もう二人で会ってはいけない。
私はわざと強く目を閉じ
頭からシーツを被った。
今夜のことは、夢なのよ、A。
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たかあや(プロフ) - 絶賛全部読み返し中です！同じ名前の曲が出ることに一人で興奮してます(笑)素敵な時間をありがとうございます！ (2018年2月6日 7時) (
レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
okgs(プロフ) - とても切ない物語でドキドキしながら読ませてもらってます！すごく胸が締め付けられる思いになりました。その人の気持ちがわかりやすくかいてあり、その気持ちにたって読めるのでいいなと思います。更新楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください！応援してます！ (2016年7月31日 3時) (レス) id: 6715d7612f (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらってます！更新楽しみにしています、頑張って下さい！ (2016年6月30日 22時) (レス) id: 42cb9d35cf (このIDを非表示/違反報告)
*今市/登坂LOVE♪♪*(プロフ) - NEEさん» ハイローのツアーも行くんですか？？いいですね！羨ましいです！！ちなみにJKですか？ (2016年6月26日 21時) (レス) id: 92c067e04f (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 3jsb-Yua∞kj8さん» ありがとうございます(*^^*)全部読んでいただいてるなんて嬉しいです！今回はきゅんきゅんよりも切なめですが、楽しんでもらえるようがんばります！ (2016年6月26日 21時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2016年6月3日 0時
