検索窓
今日:9 hit、昨日:35 hit、合計:2,210,918 hit

22 ページ22

しんとした、夜のしじま。
 



彼を照らすは、月明かり。
 




言葉をかわさぬままに
身体を近付けぬままに


私は木の元に立つオミを、まじまじと見つめた。



 
初めて見たときから思っていた。






端正な横顔
憂いを帯びた瞳




何て美しい男の人なんだろう。

 




 

見とれる私を見て


彼は目を細めて微かに笑う。

 


 
「…見すぎだろ」




あぁ、やっぱり

この人の笑顔は優しい。




 
「こ、こんな時間にどうしたの?」


 
ドキドキして
声がうわずる。

 

まさか会うなんて、まだ夢の中みたい。



 
「そっちこそ」



一歩、彼が私に近付く。

 

夜のせいなのか

いつもより表情も声色も優しい。

 


 


「私は、眠れなくて」



「あぁ、今夜は一人だから?」


 
 
彼の言葉が含む意味に
私はカッと顔が熱くなる。
 
 

何故だろう。



この人の口から

剛典さまとの"関係"を言われたくない。

 



「そういう意味じゃ…」


「俺は呼ばれたから」


「え?」



 
サクサクと彼の靴が若い芝生を踏み

私の目の前まで近付く。



 
睫毛を数えることが出来るほどの距離で

彼の瞳は私を映した。
 



 

「中庭に、来てって」



「っ…」



 
最後に会ったあの時の私の言葉。
 

 
戯れかもしれない彼の言葉を真に受けて
私の心はドキドキする。
 

 

「だからって、こんな夜中に…」





「ん、だよな。

でもこんな夜中だから、会えたんじゃねぇの?」

 
 


あぁ、どうしよう。


こんな気持ち、認めてはだめ。





こんな風に夜に外に出ることも

剛典さまのいないところで男の人と話すことも

こうして、ドキドキすることも


 


この私の日常の中に
あってはならないことなのに。
 



 
 
オミの視線に
オミの言葉に

 

どうしてこんなにも
動揺してしまっているのだろう?

 

 

 

「肩、平気なの?」


「おかげさまで」


「お大事に、おやすみなさいっ」


 



これ以上はいけないと
彼の横をすり抜けようとする私に


 
ふわりと、空気が動いた。






 

「…もう少しいろよ、A」







彼の手が私の手首を掴んでいた。
触れた場所が熱を持つ。

 



「夜の花見も悪くねぇだろ。
もう少し付き合えよ

…月が、雲で隠れるまでは」


 


 


空を見上げれば
雲なんて見当たらない柔らかな星空で。





その異空間に

私は彼の手を振りほどくことなど
出来なかった。

23→←21



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1138 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2681人がお気に入り
設定タグ:三代目JSoulBrothers , 岩田剛典 , 登坂広臣   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たかあや(プロフ) - 絶賛全部読み返し中です!同じ名前の曲が出ることに一人で興奮してます(笑)素敵な時間をありがとうございます! (2018年2月6日 7時) (レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
okgs(プロフ) - とても切ない物語でドキドキしながら読ませてもらってます!すごく胸が締め付けられる思いになりました。その人の気持ちがわかりやすくかいてあり、その気持ちにたって読めるのでいいなと思います。更新楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください!応援してます! (2016年7月31日 3時) (レス) id: 6715d7612f (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらってます!更新楽しみにしています、頑張って下さい! (2016年6月30日 22時) (レス) id: 42cb9d35cf (このIDを非表示/違反報告)
*今市/登坂LOVE♪♪*(プロフ) - NEEさん» ハイローのツアーも行くんですか??いいですね!羨ましいです!!ちなみにJKですか? (2016年6月26日 21時) (レス) id: 92c067e04f (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 3jsb-Yua∞kj8さん» ありがとうございます(*^^*)全部読んでいただいてるなんて嬉しいです!今回はきゅんきゅんよりも切なめですが、楽しんでもらえるようがんばります! (2016年6月26日 21時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:NEE | 作成日時:2016年6月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。