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あれ以来、私はオミと顔を合わせることはなく
日が過ぎていった。


 
鏡を見ればすっかり消えてしまった赤い痕。
 

日々薄れていくその痕を見るたびに
何故か浮かぶ顔に
私は心を殺して誤魔化していた。
 






 
そんなある時

剛典さまといつものように迎えた朝に
久方ぶりに"任務完了"の報告にやってきた…オミ。


でも

いつもと大きく違っていたことがある。

それは。



 

「!怪我を…!?」





いつものようにベッドから目を向ければ
ドアの前に立つ彼の身体はひどく血で汚れていた。

その赤は恐らく相手のものだけではない。


 

「任務は」

「…無事、完了しました」

 

オミの返答に満足そうに笑った剛典さまは
怪我のことは気付いているのかいないのか

 

「報酬はまた後で」



そう、おっしゃっただけだった。

 

 


黙って出ていくオミ。


私はすぐに剛典さまに向き直る。
 
 


「…オミ、怪我を」

「治療用の薬は部屋に置いてある。
あいつはプロだから、そこまで口を出す必要はないよ、A」




剛典さまはそうおっしゃって
私の髪を撫でた。




 
「A、今日は夜まで出掛けるから
いい子でお留守番しててね」

 


そのまま剛典さまはベッドを出ると
自室へお戻りになった。



 

突然一人きりになってしまったこの部屋。


支度を済ませ
扉にふと目をやれば

床に残された鮮血。


 



それを見た私は

考えるより先に、部屋を出た。


 


階段を上がり

その先にある扉に手をかける。

 





これは剛典さまへの裏切りではない。


 
目の前で傷ついた姿を見て

ただ、少しだけ


手を貸してあげられたら。

それだけなの。



 



ノックをし
ゆっくりとドアを開けた。


 
ベッドの上に腰掛け
上半身を脱いだ姿で彼は怪我の治療をしていた。

肩のところから血が溢れ
自分の手で押さえたタオルが赤く染まっていた。


 


「!貸して!!」





慌てて近寄り
驚く彼の手からタオルを奪い取る。

 
包帯で肩を縛り、傷口をタオルで押さえた。


 


「…何しにきたんだよ」


「いいから」



 

ガーゼを取り出し傷口に当てる。



久しぶりに聞く良い声

何故かそれにドキドキしながらも


私は彼を見ずに
ひたすら怪我の治療に集中していた。






「こんな場所、ひとりじゃ治療出来ないでしょう?」





 
怪我の治療に来た
それだけ。



他意はない。






この治療が済めば
すぐにここを離れるのだから。

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 岩田剛典 , 登坂広臣   
作品ジャンル:恋愛
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たかあや(プロフ) - 絶賛全部読み返し中です!同じ名前の曲が出ることに一人で興奮してます(笑)素敵な時間をありがとうございます! (2018年2月6日 7時) (レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
okgs(プロフ) - とても切ない物語でドキドキしながら読ませてもらってます!すごく胸が締め付けられる思いになりました。その人の気持ちがわかりやすくかいてあり、その気持ちにたって読めるのでいいなと思います。更新楽しみにしてるんで、これからも頑張ってください!応援してます! (2016年7月31日 3時) (レス) id: 6715d7612f (このIDを非表示/違反報告)
百合(プロフ) - ドキドキしながら読ませてもらってます!更新楽しみにしています、頑張って下さい! (2016年6月30日 22時) (レス) id: 42cb9d35cf (このIDを非表示/違反報告)
*今市/登坂LOVE♪♪*(プロフ) - NEEさん» ハイローのツアーも行くんですか??いいですね!羨ましいです!!ちなみにJKですか? (2016年6月26日 21時) (レス) id: 92c067e04f (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 3jsb-Yua∞kj8さん» ありがとうございます(*^^*)全部読んでいただいてるなんて嬉しいです!今回はきゅんきゅんよりも切なめですが、楽しんでもらえるようがんばります! (2016年6月26日 21時) (レス) id: 826e656fd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2016年6月3日 0時

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