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バタン!と音を立てて扉が閉まる。
怒って去る後ろ姿も迷いがなくて
その潔さにゾクゾクするくらいだ。
……さて。
俺がソファーに戻ると
酔ったふりしたコネコちゃんが俺に甘えてしなだれかかる。
「ねぇ、終わった…?そろそろ行きましょ?
私もう酔って動けないの、連れていって?」
「そ?じゃあ、帰って寝ろよ」
「え?」
「今夜はいーわ。気が削がれた」
俺がソファーから立ち上がると腕にしがみつく女。
酔って動けないんじゃねぇのかよ、めんどくせぇ。
「ちょっと!今夜は私と…んんっ…」
暴れるコネコちゃんを黙らせるにはこれで十分。
キスで目がトロンと落ちた女の耳元で囁く。
「明日、またここで」
今度こそぐったりした女は従業員に任せて
俺はカウンター席のバーテンの前に座った。
「明日、来ないくせに」
「代わりに出張ホストでも派遣しとく」
バーテンが出す酒を飲んで
ふぅ、と一息をつく。
「替わりが来たらそれはそれで満足するんだろ」
吐き捨てるように言う俺に、友人のバーテンは苦笑する。
「あんまりうちの店でトラブル起こさないでよ?」
「わかってる。明日は私服警備員多めにいれとく」
氷を指でつつくと、崩れてカシャンと音が鳴る。
琥珀色にじわじわと溶け出す氷を眺めながら
俺は心を平穏に戻そうと試みるけど
「何、にやけてんの」
どうやら友人にはわかってしまうらしい。
「嬉しいんでしょ、あの女の人戻ってきたから」
「…ふ、うるせぇよ」
「その割にはあんな言い方してさ、怒らせたんじゃない?」
怒ってたな、あの
鋭い視線と羞恥で赤い頬と
でも最後まで乱れはしなかった。
「俺さ、昔から気になる女をいじめるタイプだったんだよね」
「あー、いるよねそういうヤツ」
「好きな女の笑顔が見たいとかよく言うけど
本当に全てを知りたいならもっと見たい顔があるんじゃないかって思うけど」
「泣き顔とか、怒った顔とか?」
そう。
ただ、余程興味を持たないとそうは思えないけど。
だとすればすげぇな、あの
「本当に嫌われても知らないけどねー。
普通あそこまで言われたら二度と来ないでしょ」
「…確かにやり過ぎた。嬉しくて調子乗ったかも」
「はは、珍しく素直じゃん」
「でもまぁ…また来るよ、あの
次会ったらヤバイかもな。
あの
俺の方が。
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ひろみ - 私も臣大好きなので、キュンキュンしながら読みました。どうなるの?とドキドキで、途中でやめる事ができず、夜中までかかって一気に読ませて頂きました。 (2017年4月2日 2時) (レス) id: e9c7ef6696 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 3~しかないんですかね??間違ってたらごめんなさい (2017年1月8日 15時) (レス) id: 811aaed8b2 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - 毎回毎回キュンキュンしながら見てます!! (2016年9月19日 0時) (レス) id: 16f1420843 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 続きが気になりすぎます(*^^*)!NEEさんのお話大好きです\(^^)/NEEさんのペースで大丈夫ですので、無理せず更新お待ちしております(*^^*)! (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - あとさんと同じく!隆二くんに触れられてるところを見て、臣にいろいろ大切なことに気づいて欲しいです(>_<) (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NEE | 作成日時:2016年4月14日 22時