125ートサカ ページ29
「ウィスキー」
閉店後のbar。
友人のいらっしゃいませを聞く前に
俺はそのカウンターへ座る。
気分は、良くない。
「どうしたの、臣。機嫌悪くない？」
「マジあり得ねぇ」
俺の顔色を見て友人がそれを言い当てる。
差し出されたウィスキーを、俺は一気に飲み干した。
「…逃がした」
「女？珍しいね、女優にでも手出した？」
「違う、あの
あれから部屋に来ない」
持ちビルの一つである此処の客室は俺のプライベートルームの一つ。
誰かが来れば警備会社から連絡が来ることになっているのに
ここ最近ぱったり、その連絡が途絶えている。
マスカレードの直後は何度か来ていたようだったのに。
「呼んだんじゃなかったの？
仮面舞踏会……じゃなくてお別れの会？
さすが臣のおじいさん、ファンキーだよね。
遺言がなんだっけ？」
「"湿っぽいのは好かない。お別れの会はマスカレードで盛大にやってくれ"」
「それそれ」
さすがに世間には伏せられたけど
俺をこんなふうに教育したじいさんらしい。
"お前にとっての唯一の女を見つけろ。
それまでは何人も試せばいい。
ただ尻拭いの出来ない府抜けた男にだけはなるな"
十代からそう教育を受けてきた俺は
それだけを求めてきたけど
俺の正体を知ると
賢い女は分を弁えて去っていくし
したたかな女は俺の財力に目を眩ませる。
更に
俺の家庭環境にまともな女が存在しないこともあって
俺の女に対する扱いは
自然と歪みに歪みまくってしまった。
そんな中見つけた
はぁとため息をつく視線の先には
あのグランマルニエ。
赤い瓶にゴールドのラインが映えて
って！！
「なに、この鍵！！何でここに」
「あ、そうそう！それ、あの女の人が返しにきたよ」
「いつ！？」
「１週間くらい前かな」
「何で言わねんだよ！」
「いや、知ってるのかなって思ってた。
トサカって言ってたから、全部話したのかなって」
…言ってねぇし。
ってことは気付いたか、誰かの入れ知恵か。
どうりで来ないわけだ。
頭を抱える俺にバーテンは申し訳なさそうに話しかけてくる。
「ごめん、まさか知らないとは」
「……」
「でもさ、初めてだよね、臣がこんなに一人の女の人にこだわるの」
そうだよ。
自分でも戸惑ってる。
あの
この俺が、こんなに動揺するなんて。
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ひろみ - 私も臣大好きなので、キュンキュンしながら読みました。どうなるの？とドキドキで、途中でやめる事ができず、夜中までかかって一気に読ませて頂きました。 (2017年4月2日 2時) (
レス) id: e9c7ef6696 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 3~しかないんですかね??間違ってたらごめんなさい (2017年1月8日 15時) (レス) id: 811aaed8b2 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - 毎回毎回キュンキュンしながら見てます！！ (2016年9月19日 0時) (レス) id: 16f1420843 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 続きが気になりすぎます(*^^*)！NEEさんのお話大好きです＼(^^)／NEEさんのペースで大丈夫ですので、無理せず更新お待ちしております(*^^*)！ (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - あとさんと同じく！隆二くんに触れられてるところを見て、臣にいろいろ大切なことに気づいて欲しいです(>_<) (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2016年4月14日 22時
