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まるで映画みたい。
あるいはおとぎばなし？
すぐに私を突き放すくせに
ここぞと言うときに私の弱いところを鷲掴みにするこの男
目的も何もわからぬままに
私はただ踊らされる。
仮面の奥に潜む瞳は獣。
優しいエスコートに騙された獲物を
気付かないうちに仕留めるけど
私はそれでも構わない。
だってもう、ここに足を踏み入れたその瞬間から
あなたに翻弄されることは覚悟の上だから。
ダンスを終えた私は
彼に連れられてバルコニーへ。
少しだけ冷たい空気に触れて
ようやく私は夢の世界から正気に戻る。
「ねぇ」
「…ん？」
「あなたって、何者？」
二度目の質問に彼はいつものように
唇の端を上げて笑う。
「そのうちわかるんじゃない？」
わかるわけないじゃない。
またそこは誤魔化すつもりなんだ。
「今日のおねーさん、すげぇ綺麗」
男の手が、私の首筋に触れる。
ぴくりと反応した肩を、この男は決して見逃しはしない。
「知ってた？この会場の全ての男が
あなたを見て欲 情してるって」
「っ…そんなわけ」
男の手がふわり舞い
私の頬に添える。
そのままなぞるように
男の指が鎖骨まで下りて
その指の軌跡に、唇が触れる。
首筋に感じたチクリとした痛みは
恐らく私の肌に、紅を彩った。
「…このバルコニー、
外から閉めると中からは開けられないんだ」
「え…」
そう言った男は私をバルコニーへもたれさせ
ひざまづいた。
「よく似合ってる。
ドレスも、それからこのマノロブラニクも」
私の手をとった男はその体勢のまま
そっと指先に口づけた。
あぁ、ゾクゾクする。
この男はやっぱり
私の心を操るのが巧すぎる。
そのままスリットの隙間から足に手を添えて
挑発的に見上げる瞳をマスクから覗かせ
彼の唇は膝から腿へ上がる。
上がりそうな声を唇を噛み締めて耐えると
ゆっくり立ち上がった男が
その指で私の唇をなぞった。
「声、出せよ。
大丈夫、俺にしか聞こえない」
人差し指が私の口に侵入して私の歯の裏をなぞり
思わぬ刺激に私は思わず声を上げた。
「そう、そのまま。
もっと鳴けよ、A」
こんなタイミングで名前を呼ぶなんてずるい男。
私には何一つ教えようとはしないのに
そうやって
私の心の鍵を
ひとつひとつ、開けていくのだから。
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ひろみ - 私も臣大好きなので、キュンキュンしながら読みました。どうなるの？とドキドキで、途中でやめる事ができず、夜中までかかって一気に読ませて頂きました。 (2017年4月2日 2時) (
レス) id: e9c7ef6696 (このIDを非表示/違反報告)
苺(プロフ) - 3~しかないんですかね??間違ってたらごめんなさい (2017年1月8日 15時) (レス) id: 811aaed8b2 (このIDを非表示/違反報告)
あんな(プロフ) - 毎回毎回キュンキュンしながら見てます！！ (2016年9月19日 0時) (レス) id: 16f1420843 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - 続きが気になりすぎます(*^^*)！NEEさんのお話大好きです＼(^^)／NEEさんのペースで大丈夫ですので、無理せず更新お待ちしております(*^^*)！ (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
maimai(プロフ) - あとさんと同じく！隆二くんに触れられてるところを見て、臣にいろいろ大切なことに気づいて欲しいです(>_<) (2016年5月22日 10時) (レス) id: 31f7cf4807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2016年4月14日 22時
