LOvE PANiC 7

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もともと話の上手い直人さんは

　
過去の経験談や今の仕事内容等真面目な話に加え
ちょっとした冗談やユーモアを含めて話すから


笑いの絶えない素晴らしい講義になっていた。
　
　
　
周りを見渡しても、うたた寝している人なんていなくて
　
近くの女子社員からは
"ちょっとかっこよくない？"
なんて言う声も聞こえてくる。

　
そんな中私は
　

直人さんが今大阪で携わるプロジェクト内容や
仕事の取り組み方を

社会人として
元、部下としての立場で聞きながら
　

　
目は直人さんを見て
少し髪が伸びたかもだとか
ちょっと痩せたかなとか

そんなことを自然と考えてしまっていて

　
その聞きなれた声に
　
私を呼ぶあの優しい声を彷彿とさせれば

　


とにかく
なんとも言えない気持ちにさせられていた。
　

　



最後の夜から2ヵ月は経っていた。

　
引きずるには長く
完全に吹っ切れるには短い中途半端な期間。
　
　



100人以上いるこの場所で
直人さんは私に気付いているかどうかわからないけど




私にとって、この時間は
幸か不幸か。

　
　
息をするのも忘れるくらいに
混乱を極めた私の手を

大きな手が強く包み込む。

　

気づけば隣の席の後輩が
心配そうに私を見ていた。


　
…大丈夫。

　

私は精一杯岩田に微笑みかけたつもりだけど

ちゃんと出来ていたかは、定かではない。


　

　



　

人『…というわけで、早いものでそろそろ講義もしめに移りたいと思うんですけれども』

　

あっという間に一時間半が経つ。


きっと今日の講義で、男の子も女の子も直人さんのファンが増えたことだろう。
　

それくらい、いい講義だった。




人『最後に、一つだけ。

俺は長年営業をやってきてたくさんのお客さんと出会い、同業の人達と出会い、同僚と、部下と出会いました』

　
　
　
その中に、私が入っている

そのことには何だか少しだけ嬉しくもある。

　


人『全ての出会いが俺の宝で、経験で、今の俺を形作ったと思っています』
　

　
私たちの方を見て話す直人さん。
何となく目が合っているみたいで、ドキドキする。

　

人『出会いを、大切にしてください。
全てのお客様が皆を成長させてくれるし
全ての上司や同僚が皆の助けとなり心の支えとなってくれます。

たくさんの人がいるこの世界で出会えた人達をどうか大切にしてほしい』
　


　
『俺も、出会えたことに感謝しています』
　




…涙が、出そうになった。

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