LOvE PANiC 7

番外編　323―直人 ページ49

【LOvE PANiC 7 323話】


随分と遅くなってしまった。


　
俺はタクシーを降り、会場へと向かっていた。
　

遅れてきたのに横付けするのはさすがに憚られて
少し前で降りたけど


ちょっと降りるのが早すぎたかな。

冷たい空気が刺さるように、無防備な顔を冷やす。



　
ふと、鼻先に触れるのは



　
―雪？
　

　

そのとき、視線の先に見えた、人影。

　
オレンジの外灯が照らす姿は
　

　



…うん、やっぱり何度でも

巡り会える運命なのかなって、自然と頬が緩む。


　


　
駆け寄ってすぐに抱き締めたい衝動を抑えて
ゆっくり、ゆっくりと歩みを進める。

　

　
やがて、俺の姿に気付いたきみは
驚いたような、泣きそうな顔をしていた。

　

　
コートも着ずに、鼻の頭を赤くするきみに思わずかけた言葉。





「そんなに薄着じゃ、風邪引くよ」

　


マフラーを外して彼女の首に巻いてあげると
少しだけ目を細めて笑う久しぶりのきみに
どきりとする。



　
　

「…直人、さん？」


「…はい」
　
　




不安そうに答えるきみに返事をすると
大きな目を見開いて信じられないという顔を見せる。

　






…目、開きすぎ。…瞳がこぼれちゃいそうだよ
　



　


頬に触れれば、溢れだす涙。


　





その姿を見て、


あぁ、待っててくれたんだと思ったことは

自惚れではないよね？

　

　



ただいま。



　
そう言うと俺に飛び付いてくるきみを受け止める。
　



　

ずっと、ずっとAちゃんのことだけを考えてきたんだ。


　

もし迎えにいくのが遅くて
きみが他の人とうまくいっていたとしても

それでも良かった。


　

俺がいない間、幸せでいてくれたなら。

　




そんな俺が迎えに行ったとき、

嬉しそうなそぶりを見せたきみに




俺は今度こそ、永遠に心に誓う。



　
　



ねぇ、今度こそ

俺たちの間に何があろうと、俺はね


　
　

絶対、絶対に


きみを離したりなんかしない。




　
　
俺の部下として

ずっと想っていたきみと再会できたことは奇跡で
　

　



そしてまたここでちゃんと巡り会えたことは

　

きっと運命だと、思うんだよ。
　


　




　
きみに言う"誓いのコトバ"は
少しだけ、先になるかもしれないけど

　





でも俺はね、これからもずっと

きみを想うと約束するよ。

　

　






　




俺は、Aちゃんを、愛してる。

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