LOvE PANiC 7

298 ページ5

岩「戻りましたー」

「戻りました」
　

　
　
隆「お疲れ様、あれ、二人一緒？」
　
岩「姫をお迎えに」

隆「あぁ、田崎社長のとこ？」
　
　


オフィスには隆二さんが一人。
　
臣さんはまだ帰ってないみたい。


　
デスクにつくと
隣の席の隆二さんが椅子ごと私に寄ってくる。

　


隆「…最近岩ちゃんといい感じ？」
　
「はっ！？」
　
　
　
　
私が思わず声をあげると
隆二さんがしーっと私を諌める。



隆「声大きいよ」
　
「…ないですっ」
　
隆「…そう？それなら良かった」
　
　

…良かった、の意味は深く聞かないでおこう。


　


　
確かに、岩田は相変わらず私に対して好意をむき出しにしているし

私も少しそれに慣れてきたところはあるんだけど。
　




そう簡単に次の恋愛モードに入れないよ。
　
　


そんな私の心を読んだみたいに隆二さんが
　

「破れた恋の傷を癒すのは新しい恋愛だからね」
　

なんてことを囁く。

　




そりゃいつかは
大丈夫になったときは

次の恋に進みたいと思っているけど。


　

　
まだもう少しだけ休憩したいんだよ。
　




　
　



　

　
臣「お疲れー」

　
隆「お疲れ、臣」


臣「所長会議マジ疲れるわ。
直人さん毎月あんなことやってたんだな」
　


　
―直人さん。
　



オフィスで名前を聞くと
少しだけ、未だに内心どきりとする。




「お疲れ様です」
　

臣「あ、Aと岩ちゃん、来月本社で１日研修行く？」
　

岩「なんですか、それ」
　


臣「入社１〜2年目対象のキャリアアップ研修みたいなもんやるらしい。
Aもせっかくだから一緒にいってくれば？」

　
「いいんですかね、私正社員じゃないんだけど」
　

岩「いいじゃん、行こうよAさん」
　

　
　
L.D.Hの内部研修なんて多分二度と受けられないし
せっかくだから、行こうかな。




　
「行きます」
　

臣「了解。二人参加で申し込んどく」
　



　
　





時間とは何もしなくとも過ぎていって
　

それと共に傷口が塞がっていくように

　

少しずつ

　
知らず知らずに心も動く。
　
　


　
名前を聞くだけで胸が締め付けられる程だった私の心が
　
少し切ないけれど穏やかに懐かしめるようになったみたいに
　

　
変わらないことなんて、ない。

　




…はずだったのに。


　



　
私は後に思い知ることになる。
　

　




変わらない気持ちもあるのだ、と。

299→←297

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す