LOvE PANiC 7

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人「どうぞ、上がって」
　

「お邪魔します…」
　






　
会場から、タクシーに乗り込んで

直人さんは私の手をずっと離さないまま
運転手にマンション名を告げた。


　


異動が出てからも解約せずに残してあったという直人さんの部屋は

綺麗に片付けられていながらも
生活感もあって


　
初めて踏み入れるパーソナルスペースに
少なからずドキドキする。
　



　


まるで、宝くじに当たったみたいに

数時間前の私じゃ考えられなかったことが
目の前にあって

　
夢みたいと思えば

直人さんの笑顔を見て現実だと理解し


　




　
そして、触れれば
　
　



人「…Aちゃん」





…満たされる。




私の頭の中全部、直人さんのことしか考えられない。
　
　





リビングに足を踏み入れてすぐ
抱き締められていることに気付いたのは

直人さんが私をいとおしそうに呼ぶから。



　
「直人さん……」


　
人「…ずっと、会いたかった」





　
私を寂しくさせないために

　
ずっとその想いを背負ったまま
今日のために頑張っていてくれた直人さん。
　


そのお陰で私は

　
皆に支えられながら
直人さんへの気持ちに改めて気づくことが出来た。

　

　

人「遅くなって、ごめんね。

待っててくれて、ありがとう」



　
私はゆっくりと首を横に振る。

　


「迎えに来てくれて、ありがとうございます」
　

　

また、涙が溢れそう。

泣き虫だと思われるのが恥ずかしくて、私は顔を背ける。


　
「ごめんなさい、まだお酒抜けてなくて、涙もろくなってるのかも」
　

人「…いいから、見せて」


　
直人さんの手が、そらす私の頬をとらえ、
私はその視線に、捕まえられた。



　
人「…酔って覚えてない、とかはないよね？」


「それはないと、思います」



　
　
直人さんの顔が私に近付いて
鼻先が触れる。


　

あぁ、この、キスする前の儀式。
覚えてる。

　



人「…まぁいいか、覚えてなくても
何度でも言ってあげる。




…好きだよ、Aちゃん」



　
唇が、触れて



すぐに離れてしまうのを
名残惜しくて思わず追うのを

直人さんが苦笑して、待って、と諌める。



　

人「ダメダメ。俺、本当今日余裕ないよ？
そんな風に煽られたら多分、優しくできない」


　
ね？


そう嗜めるように言う直人さんに
悪い子の私は



離された距離を詰めると






ふいをついて、自分からキスをした。
　
　


優しくなんて、しなくて、いいから。

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