LOvE PANiC 7

324ー直人 ページ31

"…異動を取り下げる！？"




　

Aちゃんに別れを告げる前、
俺は社長室に出向いていた。


　
　
俺の申し出に言葉のでない社長を見据えれば
ふぅ、とため息をつかれる。
　
　

　

社「これは…役員会で決まったことだし、今さら新しいプロジェクトリーダーなんて誰も出来ないぞ？」


　
人「…承知しております」
　




常識で考えればこの俺の申し出は
社会人としても人としても失格だ。


　
勿論、俺には考えがあった。


これは、…交渉。

　
入社時には総務の役員をしていた社長。
その頃から、可愛がってもらっていた。


もともと俺の性格をよく知る彼は
俺の意図に気付く。
　
　

　
社「……本当の目的があるんだろう？」
　
　
人「恐れ入ります」



社「言ってみなさい」

　
　


…よし。
　
　

　

人「今のプロジェクトのやり方を変えます。
今の計画では、日本全国10箇所を精鋭メンバーで回っていくことになりますが、
現場を順番に回るには効率が悪すぎる。
恐らく数年かかります。

ですが今のメンバーを各地に分散して配置し、責任者として同時進行で進めれば、年内にはうまくいけば軌道に乗り始めます。
彼らの能力の高さは、先日のプレで確認済みです。
さらに人員を現地で探せば、地域創成で企業のイメージアップにも繋がります。


俺はプロジェクトリーダーとして、本社で総指揮をとります。

勿論、始めてみてうまくいかなければ、俺が現場に常駐します。軌道に乗り始めたら各地にその後は任せて、プロジェクト完了を早めます」
　
　

　

　
…今までで一番気合いの入ったプレゼンだった。


　
　
　
全ては




きみの傍にいるために。
　
　
　






社「…うまくいくのか？」


人「…わかりません。
なので、責任を持って、年内は各地で自分が直接指揮をとります。
軌道に乗り次第各チームメンバーに任せます」





うまくいけば、年内には
戻ってこれる。

　

うまくいかなければ、きみとは離れたままだけど

　

　


俺は何とかこの可能性にかけてみたい。
　

　









社「本当に、君みたいな社員は初めてだよ」
　
　

　






そう、俺は多分社会人失格だね。



でも大好きなきみのためなら、

なんだって出来る気がするんだよ。





"効率"とか
"イメージアップ"とか色々言ったけれど
　

　


全ては、Aちゃんのもとに、
戻ってくるためだったんだ。

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