LOvE PANiC 7

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やばい。


　
頭がフワフワする。



　




お酒強すぎだよ、田崎社長。

　
余りにも平然と水みたいに飲むから
私も必死でついていこうとして



あっという間に回るアルコール。


　
田崎社長の熱い視線に危険を感じた私は
トイレに行くと言って脱け出した。


　
　
鏡を見ると顔が赤いし
目は潤んでて

　
これ、絶対明日頭痛くなるやつだ、と億劫になる。

　


最後までいなきゃいけないかな、懇親会。

　



本来、私みたいな一社員が行くべき会じゃないから
会場のほとんどが男性だし

勿論私を信用して任せてくれた直己さんのためにも
ちゃんとしなきゃと思うけれど

　

気負いがあるぶん、すごく疲れたりもして…。


　
　



「…はぁ。少し休憩しよ」
　
　
とにかくこの赤くて熱い顔を冷まさなきゃ。

　


水で顔を洗うわけにもいかなくて
　
私はこっそり冬空の下へ飛び出した。


　


　

「っ…さむっ」
　


コートなしの真冬の夜は辛い。

　
身体の中でただ一つ火照った顔だけが
ひんやり気持ちいい。




　
「…あ、オリオン座」



　
季節は怒濤の早さで駆け抜けていき

気づけば、冬。

　
冬が終わればまた春が来て…



　
一年なんてあっという間だ。
　


　
　

扉から離れると、私はゆっくりと外の門を抜けた。





門の外は車通りも少なく
小さなオレンジの外灯が、微かに照らすだけ。


　

賑やかで華やかな会場から
一度出れば現れる対照的な静寂に


私は寒さも忘れて
何となく居心地のよさを感じていた。


　



ひやりと鼻先に冷たいものが当たって
　

　



思わず見上げれば



　








「…雪……？」



　
　



　





外灯の明かりで微かにわかる程度で
今まで気付かなかった。




道理で冷えるはず。







今年はまだ12月だというのにもう、三度も雪が降った。







そう多くは積もりはしないけれど

誰も通らないコンクリートは
すぐにうっすらと白くなるし


　
私の黒いスーツの肩は

白色でまだらに彩られる。


　




　
　
ふと
　


　



人の気配がした。



　




　


…フラッシュバック？
　
　



　



既視感に

　
思考が止まる。


　



　
　

これって、願望？



それとも、デジャヴ？

　




ほら、酔っぱらってるから


　
きっと私の潜在してる想いが見せる
　



幻なんだ。


　




　
私の視線の先には



　


ふわふわの髪。





　
そこに積もる雪が、前髪を濡らせて―…

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