LOvE PANiC 7

317ー岩田 ページ24

運命。

　


本来、逆らえないはずのものに




屈しないものもあったのだ。
　

　

　


"想い"というのは

　
脆い、儚いものだと思っていたのに。


　


強い想いに初めて触れた。


それにはただ、感動を覚えるほどだ。


　




　

好きだの

別れるだの


この街では日常茶飯事で


インスタントな恋愛しか知らない俺は

人の気持ちなんていつか変わるものと思っていて
　



それはあなたの直人さんへの気持ちも例外ではなくて



　

俺さえ想い続けていれば
いつかは手に入ると信じてた。



　
タイミングは悪くない。


運命は俺に味方したと思っていたのに。







俺が想い続けるのと同じように

　

彼女もまた

他の人を想い続けることだってできる。




俺はその事を忘れていたんだ。

　



　



　

ね、ここで


Aさんが直人さんへの想いを確認したのも

一つの運命だと、思わない？

　
　


　




　
　



岩「挨拶出来て良かったね」


「…う、うん」


岩「あーぁ、でも俺的には失敗。
終わらせるつもりだったのに、逆だった」



　

訝しげな顔を見せるAさんに
俺は最後の想いを告げる。

　




岩「直人さんからの卒業の意味もあって電話させたのに
逆効果だったみたいだね」


　


「岩田…」


　


岩「あなたはまた、ひとつ俺に教えてくれた」




　
マンションの前につくと
俺は車を停車させた。

　



岩「一途な、想いの強さを。

…それから、本気で人を好きになるってこと」
　
　


　
困ったような顔をするAさん。




俺の気持ちを知ってるから
何て言っていいかわかんないんでしょ？



…大丈夫。

ちゃんと、わかってるから。
　

　


岩「…俺も本気。本気で、好きだから


…だから、諦められない気持ちも、理解できるんだ。
理屈じゃどうしようもないのも
このままじゃ次に進めないってことも」


　

さぁ、覚悟して。

　


　

俺が
　

俺なりの一番の愛情を捧げるから。

　
　





岩「だからもう、俺を好きになってなんて言わないよ」





Aさんが、大きな瞳を見開く。





岩「もう、気づいてると思うけど教えてあげる。


Aさんは、直人さんを忘れることなんてできない。

直人さんが、好きなんだ」
　



　

ねぇ、それほどまでに強い想いなら


運命にだって逆らえる、そんな気がするんだよ。

　


　


「バイバイ、先輩。…また飲み会で」

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