LOvE PANiC 7

314ー岩田 ページ21

今生の別れじゃない

　

これからだって

会おうと思えば会えるのに




少しだけ時期が早まっただけなのに

こんなに寂しいと思うなんて。

　

　
　


　
思わずあなたを抱き締めたのは
　
　



もう、大丈夫だというその声が
少しだけ不安げに聞こえたから？

　

　




直人さんと遭遇したあの日から

数ヵ月が経っていて
　

自惚れじゃなくて彼女の心は少しずつ俺に向いてきたと思っている。


　
それは手応えとして感じているけど。






　
この程度のことで自信をなくすような俺じゃなかったはずなのに

　
言い様のない不安を感じるのは何故だろう？

　



　






ゆっくり待つつもりだった。

　

今までにないくらいに慎重に


　
いつだって
抱き締めたい衝動を必死で抑えてきたのに

　




　

岩「…Aさん」
　

　
俺が抱き締めるのを、彼女は拒まなかった。



岩「…A」



俺が呼ぶと、彼女はそっと俺の胸に頭をもたげた。

　

　




　


岩「30日さ、直人さんに電話しようよ」
　

「…え？」


岩「最後に、挨拶した方がいいと思う」
　

　


　
　



元、部下として。






俺の提案に、彼女は黙って頷いた。

　




終止符を打つならその時だと思った。


　
　


思い残したこと全部消化していこう、Aさん。
　
　

　

そうしてここを出たあなたを

また俺が迎えに行くからまた１から始めよう？


　





　
その時は遠慮せず行くから。
　
　




　


　


ね、これもきっと




ひとつの"運命"だと思うんだよ。
　
　

315→←313

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す