LOvE PANiC 7

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岩「え？あと一ヶ月！？」

「うん。正確には一ヶ月ない」




仕事終わりに。

　
最近は週に１、２回は岩田と食事に出掛ける。

断る理由もないし。


　
昔のようなチャラい雰囲気を封印した岩田は
意外と紳士的で

一緒にいることに違和感を感じなくなっていた。




　
「最終日は書類提出とかいろいろあるから
実質30日が最後になるかな」
　

　
岩「そっか…」


　
あからさまに寂しそうな顔を見せる岩田に
私も何となく胸が痛い。

　


「色々ありがとね」

　
岩「そんな最後みたいなこと言われるとツラいんだけど」
　

　
拗ねたように言う岩田に私は思わず笑う。

嬉しくないことは、ない。

　




岩「8月30日って他に何かなかったっけ？」

　

首を傾げる岩田に
私の心は少しだけざわっと揺れた。


　
…誕生日。

　



そう岩田に言おうとして
先に察した岩田は申し訳なさそうな顔をする。

　
　

岩「…ごめん」

「…もう、大丈夫だってば」
　


大袈裟に笑って誤魔化すと
岩田は少しだけ安心した風を見せる。

　


　
岩「退社のこと、直人さんに報告した？」

「してない」

岩「…だよね」

「した方がいいのかな、元部下だし」



　


それを口実に声が聞けるかも。

　


そう思うとドキドキする。




　
ドキドキの種類は多分


楽しみと

緊張と

不安



どれもが相まって複雑だけど。

　

今なら何だか、大丈夫な気がする。

　

根拠もなくそう思ったのは何故だろう。



岩「うん、いいんじゃないかな。
Aさんが大丈夫なら」
　


岩田の言う大丈夫の意味は、深く考えなかった。


　



　



岩「…じゃあ、Aさん」
　
「うん。おやすみ」
　

　
　
いつも食事の後に家まで送ってくれる岩田。

　
帰り道に繋がれた手も慣れたもので。


　

　
岩「あと、何回こうやって仕事帰りに飲みに行けるかな」
　
　
「うーん、あっという間だよね」


岩「職場移っても、また会ってくれる？」
　
　
「…いいよ」


岩「マジで！？」
　

　

　
そんなに喜ぶほどのこと？

　

これだから、いつの間にか
私は岩田が可愛いと思うようになってしまっていた。
　
　

　
岩「新しい職場で男作らないでね」

「…直己さんしかいないから大丈夫」

岩「二人きり！？…心配だな」
　



あのね、直己さんはそんなんじゃ…
　

　


そう言いかけて止まったのは
　



隣にいたはずの岩田が

私を、抱きしめていたからだ

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