LOvE PANiC 7

310ー臣 ページ17

「恋愛したいんですけど、どうしたらいいでしょう？」


　

　




は？


何言ってんの、お前。


　
　

　

　



　





　



　

ジトジトと降る雨は止まず

気づけば蒸し暑い日本ならではの季節。




　
いつの間にか、
"ぬいぐるみ"から"部下"になったこいつを
久しぶりに食事に誘えば


　
また、バカなこと言い出した。

　


　
臣「…恋愛って、誰と」

「さぁ？」


　
…失恋のあまり、おかしくなったのか？


それとも、誘ってんの？


　
　


「次に進まないとだめなんです、私」
　
　

真剣な顔をしているあたり
とりあえず本気だ。

　
本気で、バカなこと、言ってる。


　

臣「…次って誰と」

「募集中です」

臣「お前さ」




悪気ないんだよな。
それに他意もない。

だけど、仮にも男と二人のときにこの発言はいただけない。


　


臣「それ、俺のこと誘ってんの？」

「…やっぱりそう聞こえます？」


　
わざとかよ！


　

臣「まさかAに誘惑される日が来るとは思わなかった」


切羽詰まってるな、こいつ。

　
研修での直人さんとのことは岩ちゃんから報告を受けてる。


　
その日から

Aに妙な隙が出来たことも

あんなに邪険だった岩ちゃんへの態度が軟らかくなったことも気付いてたし

　

ゲームだったはずの岩ちゃんが
いよいよ本格的に本気になりだしたことも

わかってる。

　



で、俺は一応上司として
状況把握に呼び出してみたわけだけど。


　


危なっかしいわ、今のA。
　

直人さんの後を継いで所長となってからは
ゲームは一時中止と思っていたけど

　


ここにきて現れるいろんな罠に
俺としたことがハマってしまいたくなる。


　



あれだ。

　
失恋直後の女って、
隙が出来てやたら色っぽい、あれ。
　

口説くにはもってこいなんだけど。
　


　
臣「俺が乗ってやってもいいけど」


　
そんな器用な女じゃないくせに。

　


臣「もうふっ切れたわけ？」
　
「……はい」


臣「じゃあ俺とも、ヤレるんだ」


　

周りに人がいないのを確認して
俺はAの後ろにまわる。

　



　
臣「…A」


肩に手を置いて耳元で囁くと
身体をびくりと震わせるA。


　
臣「俺が、相手になってやろっか？」

「……え、と…」
　


　

…ほら。

　
やっぱりまだ無理なくせに。
　



バカなやつ。
　






そう簡単に想いは消えやしないんだよ。


　


その想いが強ければ、尚更。

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