LOvE PANiC 5

233ー岩田 ページ38

岩「おはよーございます！！」

　
隆「…岩ちゃん。朝からめっちゃ元気じゃん」
　
岩「わかります？」
　


岩田剛典、26歳♡

　
チャンスタイムの到来に久しぶりにテンション上がってます！
　


何がチャンスって、邪魔者…イヤイヤ、
恋敵の直人さんが出張！
　
　
彼女の空いた隙間を俺がぎっちぎちに埋めてあげようかなって。


　
…思ってたんだけど。




岩「あれ？Aさんは？」
　

いつもならもう来てる時間なのにデスクにいない。
　
　
きょろきょろする俺に
苦笑いで隆二さんが一点を指差す。

　
　
その方向には
　
　
キャビネットに入っちゃうの！？ってくらいに
張り付いて資料を読むAさんの後ろ姿。


　
岩「朝から…仕事熱心ですね」
　
隆「いや、そうでもないみたい」
　

ん？どういうこと？



隆「さっきからぼーっとして全然ページ進んでないから」
　
　

…確かに。


全然動かない。




…寝てないよね？
　

俺はデスクに鞄を置くと
そっとAさんの後ろから近付く。
　
　
少し離れた所から横顔を観察。


…さすがに、寝てはないか。


長いまつげが綺麗だな。

　
瞳は一点を見つめてるようで
何も見てなくてボンヤリしてるかんじ。
　

　
…よし。
　
　

　
岩「…Aっ！！」
　
「……はっ！？」
　


　
後ろから抱きついてみると
彼女が発したのは

キャーでもイヤーンでもなく
ガチでびっくりしたときの声にならない声。



俺があんなに見つめてたのも
本当に気付いてなかったみたい。

　
　
岩「なに見てるの」
　
「あ、イヤ、別に…」
　
　
　
慌てて隠そうとする彼女の手元には、分厚い顧客レポート。

　
本当に仕事熱心なやつじゃん。

　
　
…いや？

　

よく見ると…
　

　
岩「このレポート…直人さんが作ったやつ」
　

「！べ、別に直人さんの字を見て直人さんのこと考えてたわけじゃないし！」
　


　
……あー、ハイハイそういうことですか。
　

なんかムカつく。


　
何でここにいない人のことで頭いっぱいになっちゃってんの


今目の前にいるのは直人さんじゃないよ？
　

　

「ふっ、普通に調べたいことあっただけだからっ」
　
　
そそくさとファイルをしまうAさん。



隠し事下手なくせに、バレバレだっての。


　
思った以上に手強い俺の恋敵。


そして、俺の好きなヒト。
　



　
あーぁ、早く俺のモノになればいいのに。

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