LOvE PANiC 5

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自信なんかないよ、全然ない。
　

　
直人さんが遠くに行ってしまったら。

　
片想いのときとはまた違う意味で
会えないことがきっと辛くなる。

　
平気でいられるわけもない。
　
もうすぐのことかもしれないけど
でも私は、大丈夫な自信がないからこそ今それを考えたくはない。
　

　
岩「今すぐ結論出せないよね」
　
触れそうで触れない距離は離れも近付きもしないまま
岩田が声色を和らげる。
　

　
岩「俺はいつでも、Aのそばにいるから、
それを忘れないで」
　
　
　
ちゅ、と頬に一瞬だけ触れた岩田は私から離れると
行こう、と私の手を引いて歩き出す。

　
岩田によってドキドキさせられた気持ちと並行して
私の頭に浮かぶのは直人さんがいなくなること。


　
認識と理解は違う。

私は直人さんがいなくなることを考えることから逃げていた。
そして今も。
　

直人さんを好きになればなるほど
離れていることが辛くなるのも

好きだからこそ遠距離恋愛に耐えられなくなることも

考えれば考えるほど
行き着く先が私の望む未来からかけ離れていく気がして
　


やっと想いが通じた今
まだその感覚に浸っていたくて
私は現実から目をそらしてきた。

　

正解なんてわかんない。
　
　
ただひとつ言えることは
目の前で私の手を引く年下の彼は
少なくともすべてを知った上で私を想ってくれているということだ。

　
だからといってそれが
私が直人さん以外を選ぶ理由にはならないのだけど…
　
　
　

あぁ、だめだ。
混乱してる。パニックだ。



　
私をからかう隆二さん
私に素顔を見せる臣さん
私を好きだという岩田
　
　
私の大好きな直人さん
　
　
贅沢だと言われるかもしれないこの状況、

どうすれば後悔せずにいられるのだろう。
　


　
岩田に送ってもらって家に入れば
携帯に着信があったことに気づく。


　
直人さん。


　
折り返せば直人さんはすぐに出てくれて
"声が聞きたかった"なんて嬉しいことを言ってくれる。
　
　
他愛ない話をして、電話を切る。

　

"何してたの"なんて聞かれなくて良かった。
　
真実を言えなくても
嘘をつくことはしのびないから。
　
　
　
優しい直人さんの声を聞いて
さらに襲われる罪悪感。


　
臣さんも岩田も
やんわりとしか突っぱねられなかった自分に自己嫌悪して
それが頭を支配していたからか
　
　

直人さんの電話の声に少し元気がなかったことに、
私は全く気がつかなかった。

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