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岩「Aさんさぁ、もう少し自覚したら?」
ずい、と岩田がまた更に私に近付く。
私の背中は完全に壁に触れていて、これ以上の逃げ場は与えられていない。
岩「百歩譲って、直人さんへなら仕方ないと思えるよ?
もちろん嫌だけど、まぁまだ納得できる」
ほぼ無表情に近い岩田の顔は、怒りが解けることはなさそう。
岩「何で本命でもなんでもない男の家に行くの?
それで簡単に身体を許すの?」
「か、身体を許してなんか、ないよ!」
岩「は?たまたま何もされなかっただけだろ。
…本気の男の力から逃げられるとでも思ってんの?」
ぎゅうっと手首が痛いくらいに掴まれて私は思わず顔をしかめる。
岩「誰でもいいんだったら、俺でもいいんだよね」
「!違うよ、誰でもいいわけ…」
岩「…臣さんだから大丈夫って言われる方が傷つくんだけど」
声は怒ったままなのに、
ここで初めて岩田が、困ったような泣きそうな顔をする。
岩「……本当調子狂う。こんなはずじゃなかったのに」
「…岩田?」
岩「俺はあなたの一挙一動に心乱されまくってんだよ…」
岩田の手が私の手首から離れると私の手のひらに重なり、それはすぐに指を絡めるように繋がれる。
岩「今日だって、Aさんが臣さんの家にいるってわかって、じっとしてられなかった」
熱い視線が私を捉える。
いつもなら振り払うのに、それが躊躇われたのは
目の前の彼があまりにも切なく私を見つめるから。
岩「俺、こうやって同情を引けばAさんが逃げられないことも知ってるんだ。
…知っててやってる。
ズルくてもカッコ悪くてもいい」
あぁ、私の迂闊な行動が
膠着していた岩田の心を暴走させたのだ。
岩「好きなんだ、自分でもコントロール出来ないくらい」
岩田との顔の距離は数センチ。
岩「他の誰のものにもならないで、…A」
…誠実に生きるべきだとしたら
今言わねばならないことだろう。
私が直人さんと"両想い"であること。
でも、いつだって誰だって
清廉潔白にいられるわけじゃない。
私は目の前の彼に今これ以上悲しい顔をさせたくなくて
真実を話すのをためらってしまう。
岩田の顔が近付く。
鞄の中で携帯が私を呼ぶけど
私はそれを取り出そうとすることもできなかった。
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ひにゃた(プロフ) - 206話までよみおわりました。健二郎が、健二郎が切ないです。健ちゃん大好きなんで。よんでて、健二郎にする!っておもいながらよんでます。くせになりますね。さっ、つづきよみまーす (2017年2月7日 16時) (レス) id: 99600f3937 (このIDを非表示/違反報告)
りにゃ(プロフ) - NEEさん» こちらこそです!! (2016年2月20日 21時) (携帯から) (レス) id: 521bcd466b (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - なるみんさん» それについては、ちょっと色々考えてます(*^^*)直人さんとの結末を迎えるころには発表させていただきますので(*´ω`*)パート6もよろしくお願いします! (2016年2月20日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - りこさん» ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいし励みになりますよー!パート6も頑張ります!よろしくお願いします(*´ω`*) (2016年2月20日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - Ayanoさん» 臣の本気やってきました!ちょっとしたすれ違いなんですけど、二人には試練ですね!!頑張ってもらわねば!パート6もよろしくお願いします! (2016年2月20日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NEE | 作成日時:2016年2月4日 0時