LOvE PANiC 5

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臣「いづは…
いや、そうだな、悪い。俺熱のせいでおかしいわ」
　
　
「あ、あの…」

　
ごめんなさい、という言葉は飲み込む。
何に謝るというのだろう？

いづさんの名前を安易に出したことに？
それとも
臣さんの気持ちに向き合えないことに？

　
　
臣「熱のせいにして言っとく…。
Aが直人さんのこと好きだってわかってても
…いま、すっげぇお前のこと離したくない」


「臣さん…」
　

臣「俺、本気の相手とは結ばれない運命みたいだな」
　
　

苦笑する臣さんに、私は笑いかけることなんて出来ない。
　
　
自信家に見えたいつもの臣さんとは違って

きっと本当の臣さんは繊細で、優しい。
　
　
　
今までの辛い恋に心を傷めてる。

　
　
ぎゅ、と背中に手を回して抱き締めると
ビクッと臣さんが震える。
　
　

臣「…A？」
　
　
「…臣さんは素敵な人です。
そんなふうに言ってもらうことすら、勿体無いです…」
　
　
　
どうしようも出来ない。
何て言葉を掛ければ正解なのかもわからない。
　
想いに応えることも、出来ない。
　
　
　
臣「…お前、やっぱいいヤツ」
　
ぼそりと臣さんが呟いて、サッと私の髪を撫でる。

　
臣「でもあんまり油断すんなよ？
俺が悪い男ならとっくに食われてる」
　
　
「臣さんは、そんな人じゃないから」



そう言うと臣さんはククッと肩を震わせて笑った。
　
臣「…そんなこと言うの、隆二とお前くらいだわ」
　
　

出会った頃とは違う、素の臣さんの笑顔。
　
これ以上深く関われば心を奪われてしまいそうで
私は思わず目をそらした。
　


　
臣「…少し寝る。お前のお陰でよく眠れそう」
　
　
「私は何も…」


臣「そ？じゃあおやすみのキスとか」
「し、しません！！」
　
　
　
臣「冗談だよ、バーカ」
　
　
臣さんはそう言って笑うと
私の身体を解放する。

　
臣「…気を付けろよ？今から来るヤツは多分冗談で済まないから」
　
「え…？」
　
　
　
ベッドから降りると
玄関の方で物音がした。
　



もしかして、電話の女の人？
　


そう思って私は身構える。
　
　
　
寝室のドアが開いて、入ってきたのは
　
　
　
岩「臣さん、お邪魔します」

　
どうして、電話の相手が女の人だと決めつけたんだろう。
　
　
岩「具合どうですか？」
　
臣「…悪くねぇな、献身的な看病のお陰で」
　
　

臣さんの含みを持たせた表現に
岩田の目が感情を消す。



　
…気まずい。

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