LOvE PANiC 5

222ー臣 ページ27

"いい夢が見られそう"
　
　
そう言ったのは嘘でも何でもなくて
本当にそう思ったから。
　
　
"ぬいぐるみ"と、冗談でAは言ったけど

少なくとも俺がこいつに癒されてしまっていることは認めざるを得ない事実だ。
　


　
悪夢というには喜ばしく
でも決していい夢とは言えない夢。

　
昔の女を引きずっているなんてこと
絶対誰にも言えないと思っていたのに
　
　
年下のAにこうしてさらけ出して
甘えていることは

思ったより、悪くはない気分だ。
　
　
　

　
臣「おやすみ」
　
　
ゆっくり目を閉じると

諦めたのかAがそっと俺の背に腕を回す感触がした。

　
　


　
やがて誘われる夢の中。
　

　




　
振り返り笑うのはいづではなくて
　



　

　
"A"
　
　
夢の中で呼ぶ。
　


"お前が好きだ"
　

　
あの人じゃなくて、俺のことを想ってよ…
　

　




　



　

遠くで音が鳴る。

　
あー、やべぇ。


朝か？頭働かない。

てか寝てたし

何かいい夢見てた気がする。

　
　
手を伸ばそうとして気付く右腕の重み。


目を開けて思い出す。

　

…あーやべ。マジで寝てた。

そして同じようにマジで寝てるA。




時計は夜の21時。
朝になってなくて良かった。
　
　
ん？だとしたら
あの音は目覚ましじゃなくて…？

　

枕元で光る携帯電話。
　
…着信か。
　

左手を伸ばして取ると
俺は画面を見て少しためらう。


　
…尋問かな。
　


切れようとしない電話の呼び出し音に
俺は通話ボタンを押す。


　
臣「もしもし」
　

岩「すみません臣さん。寝てました？風邪どうですか？」
　
臣「ん、ちょっと寝てた。何とか平気」



電話の主は岩ちゃん。
俺の身体を心配しての電話、表向きは。


　

岩「それは良かったです。
ところで、Aさん、そこにいますか？」



…やっぱり、本題はこれだ。

さぁ何て答えたものか。



岩「臣さんもAさんも電話出ないし、もしかして看病に行ってるんじゃないかって」
　


おぉ、いい勘してる。

　
　
臣「居るって言ったらどうする？」


岩「…迎えに行きます、夜遅いんで」

　
　
すげー忠誠心。

いや、違うか。

心配？愛情？
　

　
でも、俺も今こいつを離したくないし。
　
　
臣「…いや、今日は」

「…臣さん、起きまし…ぁ！」


タイミング悪すぎだろ、A。


向こうにバッチリ聞こえてるな、これ。

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