156ー臣 ページ10
都内、取引先にて。
思ったより時間がかかった。
商談自体はものの15分。
シナリオ通りに順調に事が進んだ、それはいい。
問題はその後。
こういうときのために、嘘でもいいから指輪でもしておくんだった。
うちの会社の上顧客。
役員も面識のある"失礼があってはならない先"に
気に入ってもらえているのはいいが
「登坂くんは、独身だったな」
臣「はい」
恰幅の良い見るからに金持ち、といった風貌の男性。
とある上場会社の相談役で、現役を退いた後は不動産売買にてその膨大な個人資産を更に増幅させている。
１案件が最低億単位で簡単に動く。
故にリスクも高く、気に入った業者しか立ち入りが許されていない。
つまり、機嫌を損ねないことが前提条件。
「いや、私の孫娘がね、先日君を見かけたときに大層気に入ったらしくてね。紹介してくれと聞かないんだよ」
来たか。
この手の話は実は珍しくない。
大抵はその相手を見て
女友達(という名の…。)の一人に加えるか
その場で体よく断るのだけれど
今回はかなり慎重な返事が必要だ。
「心に決まった人がいるのならそう言いたまえ。別にそこで無理強いをするつもりはないからね」
じっと相手を見て、心の内を探る。
…多分、この言葉は嘘ではない。
大丈夫。
臣「俺もお見かけしたとき、綺麗な方だと目を引かれた覚えがあります。
……俺に決まった人がいなければ良かったのですが」
「と、言うと、もう婚約者でもおられるのかな？」
臣「はい。結婚はまだですが、将来を見据えたお付き合いをしている方はいます」
将来を見据えてない付き合いの女なら両手でたりないくらいはいるけどな。
嘘も方便。
確かに綺麗な人だったけど、
上客の親族と付き合うなんて面倒なことこの上ない。
「そうか、それは残念だな」
臣「申し訳ありません」
「謝ることはない。きみのような優秀でハンサムな男に相手がいないわけはないからな。
そうだ、今度きみに世話になったうちの会社の支店の
記念式典、その人も連れてきなさい」
……は！？
「きみほどの男が選んだ女性にお会いしてみたいものだね」
まさかの展開に柄にもなく、焦る。
嘘なんて付くもんじゃない、マジで。
彼女役…
…あぁ、いるわ、都合いいやつ。
貸しもたまってるし
そろそろ返してもらうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1936人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のの - 泣けるほどいいお話でした。 (2020年3月7日 22時) (
レス) id: 78c4075499 (このIDを非表示/違反報告)
りーなりな(プロフ) - NEEさん» もう呼び捨てとかで大丈夫ですよ！笑 良かった。笑 はい、頑張ってくださいね♪ (2016年2月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 521bcd466b (このIDを非表示/違反報告)
白濱ちなり(プロフ) - そうですね！！こちらこそよろしくです！楽しみに待ってますね♪ (2016年2月4日 21時) (レス) id: c7613e2a94 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - まのかさん» やっとでございます！でも両想いは両想いで悩みが出てくるんですよねぇ。笑 パート5もよろしくお願いします(*^^*) (2016年2月4日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 愛寧さん» やっと！です！ありがとうございます！なかなか終わりそうにありませぬ！笑 頑張ります！続きもよろしくお願いします(*^^*) (2016年2月4日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NEE
| 作成日時：2016年1月24日 0時
