LOvE PANiC 4

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『L.D.H不動産(株)今春より新計画始動』
　
新聞の企業面に載る見慣れた社名。
どうやらこの春から新プロジェクトが始まるらしいことを、朝ごはんを食べながら眺める。


「あっ、やば、もう出なきゃ」
　
　
バサッと机に新聞を投げ置くと
私はコートを着て出勤準備にかかる。

　
このときはまだ

自分のいる会社のことでありながら、自分には関係のないことだと、思っていた。
　
　

　
「おは…」
　
岩「えぇ！？マジすか！？」


　
オフィスに入ろうとしたところで
岩田の大きな声に、足が止まる。

何かあったのかな。

　
ドアを開けてすぐにあるパーティション、
その横を通ってデスクへ行こうとしたとき
　


岩「直人さんが…」
　

岩田の声色に、いい話でないことを感じ
私はパーティションの影に身を潜めた。
　


臣「これ、トップシークレット。まだ役員しか知らない」
　
岩「また、秘書課っすね」
　
　
直人さんの、トップシークレット…？
　
　
隆「でもプロジェクトリーダーなんて、すごいよね。さすがっていうか」
　
　

プロジェクトリーダー…。

プロジェクト、と聞いて思い出す今朝の新聞記事。


　
岩「今回のプロジェクトってたしか、全国各地でってことですよね。。そうすると直人さんは…」
　
　
臣「まぁ、ほぼ出張っていうか、各地を回ることになるだろうな。
第一弾は関西らしい」

　
隆「寂しくなるよね…」
　
　
関西…
　
　


直人さんがいなくなる。
　

お腹の辺りからひやりと冷たいものを感じて
私は頭が真っ白になる。
　
　



臣「でも、ここでリーダーとして行けば、出世コースに乗ることは間違いない」
　

隆「だよね」


岩「…先輩」
　
　
岩田が私を呼び、びく、と身体を震わせる。
　


岩「先輩は、大丈夫かな。直人さん、いなくなるって聞いて」


隆「ショックだろうね…」
　


ショック、というか、頭が真っ白です、隆二さん。
　
　
臣「あいつにはまだ言わない。
直人さんの口から直接聞いた方がいいだろ」
　
　
ごめんなさい、聞いてしまいました、臣さん。
　
　
　
岩「今日直人さんは？」

臣「今日は普通に日帰り出張」
　

隆「…Aちゃん遅くない？」
　
　

あ、まずい。

あと数分で始業だ。
　

　
「お、おはようございまーす」
　
　
わざとらしいかな、と心配したけれど
聞いてたことは気づかれてないみたい。





　
　
そっか、直人さん、いなくなっちゃうんだ。

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