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見つめられると石になる西洋の怪物がいたよなぁ。
あれ、なんだっけ?
混乱して動けない私は、そんなどうでもいいことが頭を巡る。
顔は近付き、触れる。
そう思ったところで、臣さんの動きが止まった。
臣「…拒めよ、バカ」
呟くようにそう言うと項垂れる臣さん。
臣「直人さんが好きなんだろ?」
「そう、ですけど」
だって慰めるって決めたんだもん。
臣さんから仕掛けてきたくせに、バカまで言われる謂れはない。
臣「Aって騙されやすいよな」
「!からかったんですか!?」
臣「いや…
助かった。醜態を晒さずに済んだ」
あいかわらず意地悪だけど
その眉をひそめて笑う顔が何だか無理をしているように見えて何も言えなくなる。
臣「…もう何年も会ってないし、会いたいとも思わなかったのに、おかしいよな」
「そんなことないです!
それだけ、臣さんの心に残った恋だったってことだから、もう一度出会えば気持ちが再燃するのは当たり前です!」
…あれ?
またこの感じ。デジャヴ。
前に一度会ったことがあって
再会して
恋心が再燃する。
そんなこと、私にもあったっけ?
もう少しで、わかりそう
そんなとき。
臣「A」
またふわりと臣さんが私を抱き締める。
何かにすがり付くみたいに必死に見えて
私は臣さんの背中をポンポンと叩く。
「私、くまのぬいぐるみになります」
臣「…は?」
私を抱き締めたまま、臣さんが鼻で笑う。
「悲しいけど誰にも言えなくて1人で泣くとき、昔から大切にしているくまのぬいぐるみを抱き締めて泣くんです」
臣さんにはきっとくまはないだろうから
「だから、1人で泣かなくて済むように、私が」
ぬいぐるみ役くらいなら出来る。
でないと
臣さんの素の部分を見て、
必要以上にドキドキしてしまいそうだから。
臣「Aがくまのぬいぐるみ?」
「ひ、必要なかったらいいですけど!」
何だかバカなことを言っているような気になって
少しだけ恥ずかしくなってきた私に
臣さんが囁く。
臣「…じゃあ遠慮なく。お前は俺のものね、A」
言葉のニュアンスがおかしな気がするけど
無駄にセクシーに囁く声にドキドキするけど
まぁいいか。
これで借りは返せた、よね?
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のの - 泣けるほどいいお話でした。 (2020年3月7日 22時) (レス) id: 78c4075499 (このIDを非表示/違反報告)
りーなりな(プロフ) - NEEさん» もう呼び捨てとかで大丈夫ですよ!笑 良かった。笑 はい、頑張ってくださいね♪ (2016年2月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 521bcd466b (このIDを非表示/違反報告)
白濱ちなり(プロフ) - そうですね!!こちらこそよろしくです!楽しみに待ってますね♪ (2016年2月4日 21時) (レス) id: c7613e2a94 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - まのかさん» やっとでございます!でも両想いは両想いで悩みが出てくるんですよねぇ。笑 パート5もよろしくお願いします(*^^*) (2016年2月4日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - 愛寧さん» やっと!です!ありがとうございます!なかなか終わりそうにありませぬ!笑 頑張ります!続きもよろしくお願いします(*^^*) (2016年2月4日 20時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:NEE | 作成日時:2016年1月24日 0時