12 U ページ12
剛「こんな時期に異動なんて珍しいんだね」
運転をしながら剛典がする何気ない質問に
私はつい無駄に身構えてしまいそうになる。
だめ、これはただの雑談。
「うん、私もびっくりしたよ」
剛「イケメン？」
「…そうだね。女子社員が騒いでた」
剛「そっかー」
いちいち質問内容にドキドキする。
別に隠さなきゃいけないことじゃないけど
それが広臣だということも、敢えて言う必要はない。
私がしっかりしていれば
何も起こりはしないのだから。
剛「あ、俺、本社勤務決まった」
「そうなの！？」
上場会社でもある(株)岩田製紙の社長の息子である剛典は、２年前から勉強のため子会社で普通のサラリーマンとして働いていた。
今回、ようやく社長に認められて
本社で経営者に従事することを認められたということだ。
剛「これからは現場も回りながら経営の勉強かな。
忙しくなるけど、楽しみなんだ」
「じゃあ、御祝いしなきゃね！」
剛「いーよ、そんなの。その代わり…」
車が赤信号で止まると
運転席の剛典が耳元に顔を寄せてくる。
剛「これから忙しくなるから、
今夜はいっぱい愛し合いたいな…」
結婚しても、何年経っても
剛典はロマンチックな雰囲気を作るのが得意だ。
一緒に住んで何度夜を過ごしても
まるで恋人同士のように
甘く優しく、変わらぬ愛をくれる剛典には
夫婦だというのに、今だにドキドキする。
子供がいないせいもあるだろう。
剛典が二人きりの夫婦生活を望んだ日から
二人にとってそれは今何となく触れられない話題だ。
何度か、子供が生まれた友達を引き合いに様子をうかがうも
剛典には積極的に子供を作る意思がない。
勿論いつかは欲しいと言うが
私より二つも若い剛典にはまだ切望する歳でもないということだ。
仕事が忙しくなれば、また子供への意識も薄れるだろう。
それでも、
剛典の私への愛は本物だ。
Aちゃんさえいればいいという剛典の言葉は
本心だろう。
私は剛典に気付かれないようため息をついた。
別に今の生活に不満があるわけではないけど
このささいなすれ違いが
やがて抜け出すことのできない大きな間違いに発展するなら
今のうちから払拭しておくべきだったのだ。
私はまだ気付かない。
それが、私の運命を大きく変えてしまうかもしれないことを。
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mikikomikiko042(プロフ) - 感情移入してしまい 泣けます 物語を読んでつくづく恋愛に正しいも正しくないもないのかもなと思いました。好きな気持ちは罪ですねー私は剛典が知っててクリスマスイブ自由にしたのに怖いよりもそーゆー選択もあるのかなと。 (2017年9月24日 0時) (
レス) id: bafd6d7784 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 私もお話書かせて頂いてるのですがNEEさんの作品は私がお話書き始める前に読ませて頂いてました！久しぶりに読んだのですがやっぱり素敵なお話でいい刺激受けました＼(^^)／ありがとうございます！ (2017年8月11日 12時) (レス) id: af7111a19c (このIDを非表示/違反報告)
BABY.(プロフ) - NEEさんのお話は前から読まさせて頂いてるんですが、本当に感情移入しやすいので、物語で泣いたのは本当に初めてでした。臣と岩ちゃんのキャラ本当に大好きでした。感動するお話をありがとうございました！！！これからもNEEさん、応援してます ♪ (2016年8月14日 1時) (レス) id: 9ddc573c34 (このIDを非表示/違反報告)
NR - ズット読ませてもらってました！！名前変えたので覚えてもらえてないとは思いますが…すごく主人公ちゃんの気持ちがわかります！ダメなのわかってるのに目で追ってしまうー私も経験済みでした。見てない、気にしてないふりしなかまらガッツリ気になってるー止められませ (2016年8月1日 1時) (レス) id: 6fe09feffd (このIDを非表示/違反報告)
NEE(プロフ) - maman727さん» こちらもコメントありがとうございます！不倫だめなんですけど、わかってるんですけどねぇ。。確かに岩ちゃん離婚はしなさそうですね！ホラーですしね(笑) (2016年3月3日 9時) (レス) id: 7b2f44dc73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NEE
| 作成日時：2015年12月4日 0時
