弐佰拾 ページ20
Aside
五条「ね、付けて付けて。」
そう言って
子どもみたいにソワソワしながら
鍛え上げられた腕を差し出す姿に
思わず笑みが零れた。
私より、一回りも二回りも
大きな手首に
そっとブレスレットを巻き付ける。
悟は、そのブルージルコンを
同じ色の輝きを放つ瞳で見つめながら
嬉しそうに無邪気な笑顔を浮かべた。
嘘偽りのない
真っ直ぐで純粋な感情を表現した
その笑顔に
ドクン、と一回
心臓が大きな音を立てて跳ねた。
…あぁ、やっと
悟の笑顔が見られた気がする。
先生としてでも
最強としてでもない
五条悟としての、ありのままの笑顔。
あの日、私が悟から
永遠に奪ってしまったと思っていた。
…でも、違った。
悟はやっぱり、悟のままだ。
五条「お礼にディナーでもご馳走するよ。」
「えっ…お礼のお礼じゃ、
意味ないって…。」
五条「いーからいーから!」
少し強引に私の手を引く悟は
本当に楽しそうで、嬉しそうで…
今見せている、その笑顔の源は
私があげたブレスレットなんだと
自惚れざるを得なかった。
そして、その自惚れが
なぜか心の隙間を埋めるように
じわじわと馴染んでいく。
その過程が、心地いい。
何度も麻痺させて
何度も殺し続けてきた心が
ゆっくりと、蘇生していく。
心が無ければ
誰かを傷つけることも
誰かに傷つけられることもない。
それは確かに
正しいかもしれない。
でも、心が無ければ
誰かを喜ばせることも
誰かの言葉に
喜びを感じることもないのだと
悟が教えてくれた。
ずっと、無駄だと思っていた
心の存在意義を、教えてくれた。
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るびー(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます!あまりに嬉しすぎるお言葉にニヤけが止まりません!(笑) 私もこの主人公ちゃんの設定はかなり気に入っているので、そう言っていただけて本当に嬉しいです(^^♪ これからもどうぞよろしくお願いします! (5月13日 23時) (レス) id: 8dcf54ba73 (このIDを非表示/違反報告)
なな - ある日たまたまこの小説を見かけたのですが、一気に1から5まで読みました!!笑 とっっても設定含めて靡かない主人公ちゃんがたまらないです!!!早くこの小説の魅力にみなさん気づいてー!笑 (5月13日 22時) (レス) @page47 id: a1bc02f32a (このIDを非表示/違反報告)
るびー(プロフ) - にこちさん» コメントありがとうございます!まさかのリピートですか!!嬉しすぎます(;_;)楽しんでいただけるよう、これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いします(*^^*) (4月8日 23時) (レス) id: 8dcf54ba73 (このIDを非表示/違反報告)
にこち(プロフ) - 久しぶりに1話から読み直しました!!続編移行おつかれ様です&おめでとうございます🫶🏻これからも愛読します🥰🥰 (4月8日 22時) (レス) @page1 id: 7ce575ffce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るびー | 作成日時:2024年4月8日 13時