佰伍拾壱 ページ9
Aside
結局、悟が私を高専に
連れてきた理由は分からないまま
手を引かれ
寮まで戻ってきてしまった。
久しぶりに目にした自室は
悟のために買ったコーヒーや
お菓子がたくさん置いてある。
あの頃の何も知らない馬鹿な私は
悟と過ごす時間が好きだった。
私が淹れたコーヒーと
私が選んだお菓子を
美味しそうに食べる悟を見るのが
好きだった。
………悟は
私と過ごした時間に
一体どんな名前を付けて
記憶しているんだろう。
“Aのせいじゃない”
あの言葉が、本心だとしても
たとえ、悟が私を許しても
私は、私を許すことができない。
傑が望んだように
悟が望んでくれているように
呪術師として生きていけたら
どんなにいいだろう。
半分呪いの上に
いくつもの罪を重ねた私が
悟の横で、呪術師として
堂々と生きるための、唯一の方法は……
五条「…ねぇ、聞かせてくれる？
君の中にある、もう一つの魂の話。」
「………っ…」
逃げ場をなくすように
静かに閉めたドアの前に立つ悟の言葉に
心底驚き、思考が止まる。
それは、皇一族の中でも
今は私しか、知るはずのないことだから。
「………気づいてたんだ。」
五条「僕も、人を見る眼を養ったんだよ。
Aを見習ってね。」
…なるほど。
昔は気づいていなかったのに
最強になった後も
悟は進化し続けているらしい。
おかげで、私はどんどん
隠し事ができなくなっていく。
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作者名：るびー | 作成日時：2024年2月15日 9時
