佰捌拾捌 ページ47
Aside
伏黒くんへの謝罪を終えて
寮の自室に戻る。
許せないほど怒っている…
わけではないようで
心底安心した。
あとは、悟だけだ。
私の任務を代わりに
片付けてくれているのだから
それ相応のお礼をしなければ
気が済まない。
でも、悟が喜ぶものを
甘いお菓子以外に、私は知らない。
私が、悟のためにできることは
一体何だろう。
そう考え始めた途端に感じる
悟の呪力の気配。
どうやら、高専に帰ってきたらしい。
部屋の中にある
明らかに一人分ではない数の
珈琲と紅茶の中から、二つを選んで
一緒に食べようねと言って
随分前に悟が買ってきてくれた
お菓子の箱を開け、お皿に並べる。
ポットのお湯が沸いて
ゴポゴポという音を立てた頃に
ちょうど、ドアのノック音が重なった。
軽く返事をして
施錠し忘れていたドアを開けると
皺も汚れもない綺麗な制服姿のままの
悟が立っていた。
五条「や。
…お、顔色良くなったね。
よかったよかった〜。」
乱雑な優しい手で
くしゃくしゃと私の頭を撫で
いい匂い〜と言いながら部屋に上がる。
どうやら、私が二日間かけて
こなすはずだった任務を
たった数時間で
片付けてきてしまったらしい。
悟が単に特級ではなく
最強と呼ばれるに相応しい理由を
改めて理解する。
「悟…本当にごめんね。
それから、本当にありがとう。
何か、お礼させてほしいんだけど…
欲しいものとか、ない?」
妙に子どもっぽさが残る悟が
ハーゲンダ〇ツ、なんて
言い出さないよう
お菓子以外で、と付け足しておく。
すると、悟はじっと
私の目を見つめた後に
う〜ん、とわざとらしく
考える素振りをしてみせた。
明らかに、欲しいものがすでに
脳裏に浮かんでいる動作だった。
大抵のものは手に入るが故に
物欲がなさそうな悟にも
即答できるほど欲しいものがあることに
私は少し驚いた。
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作者名:るびー | 作成日時:2024年2月15日 9時