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佰捌拾陸 ページ45

伏黒side









A「………本当にごめんね。






あの時、意識が朦朧としてて…






伏黒くんのこと
悟だと勘違いしちゃったんだ。」











「………はっ…?」









二回目の「ごめん」の後に
流れるようにして紡がれた言葉に
驚愕して





思考回路が停止する。





恐らく本人は理解していないであろう
その言葉の真意に気が付くより先に
声が漏れていた。












悟だと、勘違いした…







つまり、俺と、五条先生を間違えた。






俺を、五条先生だと思った。






だから、キスを介して、呪力をもらった。






ということは、俺だと分かっていたら
呪力はもらわなかった。







キスをすることは、…なかった。











「………なんだ、それ…。」










あの桃源郷のようなひと時は





Aにとっては、日常の一片どころか
それ以下の過ちとして記憶されていた。





その事実に、呆れて、落胆して





…でも、Aらしいと納得して





ため息に混じって、笑いが零れた。





想いを伝えることすら許されず
遠回しに振られた自分に対する
哀れな嘲笑。






あの縋るような視線も
頼るような言葉も





すべて、俺に向けられたものでは
なかったのだと思い知らされる。





…片想いって、残酷なんだな。







一番好きで
一番大切に想っている人の言葉に





一番傷つけられてしまうことも
あるんだから。









A「伏黒くん………?」








俯いて黙り込んでいる俺が
怒っていると思ったのか





Aは不安そうな
心配そうな顔をして





遠慮がちに俺の顔を覗き込む。





その鈍感さも、優しさも、純情さも





Aを好きだという
気持ちの所為で





傷口をえぐる刃に変わってしまう。





それが痛くて、苦しくて…





いっそ嫌いになれたら、なんて





好きな人の善ささえも
否定してしまいそうになる自分に
嫌気がさした。

佰捌拾漆→←佰捌拾伍



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:るびー | 作成日時:2024年2月15日 9時

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