佰捌拾弐 ページ41
Aside
目を覚ますと
見覚えのある天井が広がっていた。
一か月前と同じ光景に
ここが医務室であるということを
理解する。
視線を横に移すと
コーヒーを片手に持った硝子が
脚を組み、何かの資料を
眺めているところだった。
そして、相変わらず消えていない
隈の上の瞳と、目が合う。
家入「…Aの任務は
五条が片付けに行った。
とりあえず、
明後日までは休むんだな。」
素晴らしく端的な状況説明で
倒れた私を悟が運んでくれたことと
明日と明後日の任務が
悟に引き継がれたことを理解する。
…謝らなければならない人が
一気に三人に増えてしまった。
「…迷惑かけて、ごめん。」
その三人のうち、
今最も近くにいる硝子に
謝罪の言葉を述べる。
他人にも反転術式を使うことができ
重宝がられている硝子は
ただでさえ忙しいというのに。
嘘のように熱さも怠さも引いた身体と
腕に繋がれた点滴を見て
手間をかけさせてしまったことを
申し訳なく思う。
家入「動いていたのが
不思議なくらいだったよ。
寝る暇がないなら、
せめてちゃんと食べな。」
「………ごめん。」
家入「それも難しいなら
ここに来るといい。
疲労くらいは
回復させてやれるから。」
まるで心配性な母親のように
優しい小言を言う硝子に
私は謝ることしかできなかった。
もう二度と、硝子に迷惑はかけないと
決めていたのに。
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作者名:るびー | 作成日時:2024年2月15日 9時