佰捌拾 ページ39
Aside
悟の発言で、とんでもないことを
してしまったと気が付いた。
あの時、呪力切れで
動くこともままならなかった私に
呪力をくれたのは…
悟じゃなくて、伏黒くんだったんだ。
「私、てっきり悟だと思って…。」
背格好も、声も、口調も、
何もかも違いすぎて
共通点を見つけることの方が
難しい二人を間違えるなんて
どうかしている。
それに、術式の発動条件とはいえ
十歳近く年下の彼に
キスをするなんて…。
下手をすれば、未成年何とか罪で
捕まるのでは…?
………とにかく、これ以上
被害者を出さないためにも
数時間くらいは
寝た方がいいかもしれない。
幸い今日の任務はこれだけだから
寮に帰って少し休もう。
いやその前に、まずは何が何でも
伏黒くんに謝って…
五条「ねぇ、それってさ…
僕と間違えて、
恵にキスしたってこと?」
不意に、人の思考を遮るように
数時間前の愚行を言葉にされ
頭が痛くなる。
「………。」
でも事実である以上
黙って頷くことしかできない。
そして、追い打ちをかけるかのように
悟は俯いた私の顎に手を添えて
少し強引に視線を交差させる。
五条「なんで、恵はダメで…
僕ならいいって、思ったの?」
責めるような言葉選びとは裏腹に
柔らかな口調と
どこか嬉しそうな表情に
困惑する。
でも、悟が言っていること自体は
ごもっともであると気が付くのに
そう時間はかからなかった。
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作者名:るびー | 作成日時:2024年2月15日 9時