佰陸拾陸 ページ25
伏黒side
虎杖「Aー、
無理して全部食わなくていいぞ？」
A「ううん。
美味しいから
いくらでも食べられそう。」
記憶を取り戻す前よりも
Aはよく笑うようになった。
堅苦しい敬語もなくなり
親しみやすくなった彼女は
一層魅惑的で
年齢や性別を問わず、人を魅了する。
それが、彼女の前ではつい
本音で話し過ぎてしまう理由の
一つだろう。
だが思えば、Aはいつも
自分のことは何一つ話さない。
どこで生まれ、どんな家庭で
どんな景色を見て育ったのか…
Aの過去について
俺は何も知らない。
きっと、
五条先生は知っているんだろうと
分かってしまう分、余計に悔しい。
禪院「…ってか、何でうどんなんだよ。
もっと精のつくもんの方がいいだろ。」
釘崎「あー、焼き肉とか？」
パンダ「いや、病み上がりにそんなもん
食えないだろ…。」
狗巻「しゃけ…。」
そんな会話に微笑みながら
相槌を打つAを
少し遠くから見つめる。
……横顔さえも、綺麗なんだな。
五条先生と並ぶ姿は
まさに空と太陽で
名字も術式も
黒に生きる俺には眩しすぎる。
近づけばイカロスのように
翼を焼かれてしまうと分かっていても
どうしても知りたかった。
「………先生とAは
いつから知り合いなんですか？」
俺が知らない、二人の過去を。
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作者名：るびー | 作成日時：2024年2月15日 9時
