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佰陸拾弐 ページ21

Aside








突然、前触れもなく
形のいい薄い唇が
呼吸を奪うように重ねられる。







「………っ…!」







驚いて後退りをしても
すぐ後ろは壁で






酸素を求めて逃れようとしても





手は繋がれていて
頬は固定されている。















………どうして今更
術式のコントロール訓練を…?





記憶を取り戻した今
体液を取り込んだところで





意思に反して
呪力を奪ってしまうことはない。





それは、悟も分かっているはずなのに。





仮に分かっていなかったとしても
舌で器用に唾液を送り込んだ時点で
気が付くはずなのに。





術式のコントロールができていると
分かった今でも





唇を離さないのは、どうしてだろう。








ここに来てから、悟の言動は
分からないことだらけだ。





だから、傍にいると混乱するのに





その反面、なぜか安心する。





その相反する感情が共存できることを
私は、つい最近知ったばかりだ。








五条「…おっと……」







息が苦しくなり、膝から崩れ落ちると





悟は私の腰を支えながら
一緒にしゃがみこむ。





目の前にある
昔からずっと変わらない
綺麗な碧を見つめても





その奥にある心情は分からない。





それはきっと、
私が知らない感情だから。









「どうして…。」








だから、教えてほしいと思ったのに。








五条「さぁ、どうしてかな。




言ったでしょ、自分で見つけてって。」








悟はからかうようにそう言って
少し悲し気に笑うだけ。





楽しいと悲しいも、
共存できるのだと
その複雑な表情を見て知った。






悟の心は、豊かで、鮮やかだ。





だから、隙間だらけの私の心に
たくさんの感情を与えてくれる。





出会った時からずっと
悟の傍にいると





まるで冒険をしているような
高揚した気持ちになるのは
その所為なんだろう。

佰陸拾参→←佰陸拾壱



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:るびー | 作成日時:2024年2月15日 9時

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